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「AI倫理」を問う(下):人間中心主義からの脱却 

利便性や経済性だけを優先する判断基準をAI倫理に適用するのは間違いだ

塩原俊彦 高知大学准教授

AIによる人間中心主義の徹底化

 実は、AIこそ人間中心主義を徹底化しつつあることに気づかなければならない。ゆえに、AI倫理を考えるのであれば、人間中心主義を脱却した立場から論じなければならないのではないか。

 最近のAIの成功は、コンピューターに大量のデータを覚え込ませて、ある目的のためにより有効な結果をもたらす手段を高い確率で選び出すという統計処理に起因している。囲碁のようなルールが比較的明確な場では、AIに

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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