メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

首相の星野源コラボが炎上して

[185]新宿・歌舞伎町「ロフト」、サンダース撤退、ETV特集……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

4月8日(水) 「毎日新聞」のコラム原稿を書く。緊急事態宣言発令という戦後初の事態のもとで「正気」を保つことの必要性を書いたつもりだが、うまく伝わってくれればいいのだが。

 午後5時から新宿・歌舞伎町でライブハウス「ロフト」のオーナー平野悠さんにインタビューをするために取材に出る。ライブハウスは現下の状況のもとでは、まるで犯罪者扱いされている感がある。大阪のライブハウスがクラスター化したケースがあったからもあるが、「3密」(密閉、密集、密接)の代表格であるとされて敵視されるのだろう。閑散とした歌舞伎町の街並みを撮影していたら絡まれた。「お前ら、何撮ってるんだよ」。歌舞伎町の住人たちもみんなピリピリしているのだ。

 「ロフト」とは個人的にも長いお付き合いがあるが、新宿・歌舞伎町のロフトプラスワンは、ビルの店にホストクラブがたくさん入居している。そのビルの地下2階に「ロフト」はあるのだが、その昔は、ぼったくりバーが入っていて、しょっちゅう警察の手入れを喰らっていたとのこと。それでビルのオーナーからオファーがあって入居したのだという。

 ロフトでは3月20日に傘下の渋谷の「LOFT HEAVEN」で開催されたライブで感染者が出てしまった。お客さんのなかに宮藤官九郎さんがいて、宮藤さんも感染したために大騒ぎとなった。平野さんはライブを実施した見通しの甘さについて大いに反省していた。甘く見ていたと。休業によって多大な損害を被ったようだがやむを得ない、緊急事態宣言もとにかく早く出して欲しかった、と言っていた。ただ実際には、従業員やロフトの店舗の維持に関わっている人々が困っている現状があるので、どうしようかと困惑しているという。

新宿ロフトの系列店で舞台を見つめる平野悠さん=東京都新宿区2015年ライブハウス「ロフト」の創始者である平野悠さん=2015年

 ただ、平野さんは、ライブ文化が日本のカウンターカルチュアのなかで根づいてきたリアルな歴史を体現している人なので、現在のことよりも、ポスト・コロナの後のことを多く語りたがっていた。ロフトは来年グループ創業50年の節目を迎える。残念ながら今はそれを語るには相当にセンシティブにならざるを得ない。ロフトの運営に関わっている加藤梅蔵さんは、ライブハウスがどんどんつぶれている現状に絶望的な表情だった。

 僕らがこういう現場に取材にくることについて、かなり局内でもナーバスになっている感じが伝わってくる。中国の武漢の封鎖が解除されたというので、テレビ朝日の女性特派員が現地入りしたとの話を聞いたが、十分な備えをしていることを信じる。相当に神経を使って疲れた。

サンダース氏のラディカリズムは、ポスト・コロナ時代の価値観

4月9日(木) 昼過ぎに広尾を訪れていたら、商店街に結構な人出があった。いわゆる盛り場は閑散としているが、住宅地の地元商店街は買い物などで人が出ざるを得ないのだろう。毎日放送(MBS)の60歳の制作担当役員が新型コロナウイルスに感染して死亡したとの報。感覚的には近い場所にいた人物でショックを受ける。

 バーニー・サンダース米大統領候補がとうとう民主党の指名争いから撤退を表明した。サンダース氏は「もっといいニュースを伝えたかったのだが、周知の通り、300人ほどの代議員がバイデン副大統領を支持しているのが現実だ。勝利への道は実質的に断たれた」「我々は信条的な戦いに勝利し、全土で多くの若者と働く人たちの支持を獲得している。だが民主党の指名獲得に向けた争いは成功しないとの結論に至った。従って本日、私の選挙運動の中止を発表する」と述べた。

ジョー・バイデン前副大統領(左)への支持を表明したバーニー・サンダース上院議員=バイデン氏の動画中継から.ジョー・バイデン前副大統領(左)への支持を表明したバーニー・サンダース上院議員=バイデン氏の動画中継から

 これでバイデンvsトランプの構図が確定した。個人的にはがっかりした。サンダース氏のラディカリズムこそが、ポスト・コロナ時代の価値観を先どりしていたと思われるのだが、いかんせんアメリカの民主党支持の有権者たちがサンダース氏を受け入れるだけの想像力を持ち得ていないのだ。穏健保守のバイデン氏はオバマ大統領よりも政治的には変革が期待できそうにない。

 11月3日のアメリカ大統領選挙投票日、トランプ大統領が延期を画策するのではないか、と思っていたが、そんなに簡単なことではないことがIさんのご教示でわかった。コロナウイルス禍で経済が破綻した場合のトランプの戦略は、外敵を仕立てて(おそらく中国だ)、好戦的な支持者たちの後押しを得ようとするだろう。そして日本のシンゾー氏はそこに隷従していくばかりだ。

4月10日(金) 津久井やまゆり園事件の植松聖元被告(死刑確定)が、横浜拘置支所から東京拘置所に移送されたとのことだ。

・・・ログインして読む
(残り:約2224文字/本文:約4138文字)