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緊急事態宣言をどうする? 新型コロナと5月7日以降の日本

PCR検査を拡大し、より「有用」で「実現可能」な「4割削減」戦略に転換を

米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

8割削減は本当に「必要」で「有用」か?

 しかし、ここで立ち止まって、この「8割削減」は本当に新型コロナウイルス感染症を対策として「必要」で、「有用」で、「実現可能」な戦略といえるのかを考えてみたいと思います。

 まず最初に西浦教授の「8割削減」の前提を整理します。西浦教授は、従前社会に存在する「人と人の接触」のうち25%が「削減不可」、75%が「削減可」として、「削減を考える基準時点におけるRt」を、「ヨーロッパにおけるR0=2.5」と考えて、ここからRt<1.0とする為には「削減可」の部分の「8割削減」が必須であるとしていました(参考1参考2)。(但しこの場合、「削減不可」の25%を加味した全体の削減率は「6割削減」となります)

 ところが、4月22日の専門家会議においては、「削減を考える基準時点におけるRt」を、「ヨーロッパにおけるR0=2.5」と考えるところは変わらないのですが、「全体として8割削減してRt=0.5とし、早期の感染鎮圧を図る」としています(参考

 両者は全く異なる考え方であり、本来変わるはずのない説明がなぜ、突如何の説明もないままこれほど大きく変わるのか極めて困惑するところですが、その検討は別稿に譲り、本稿では、直近の、「削減を考える基準時点におけるRt」を、「ヨーロッパにおけるR0=2.5」として、「全体として8割削減してRt=0.5とし、早期の感染鎮圧を図る」ことを西浦教授の言う「8割削減」の中身とし、「8割削減(Rt=0.5)」と表記します。

 ところが、西浦教授自身が認めているところですが、そもそも「削減を考える基準時点におけるRt」を「ヨーロッパにおけるR0=2.5」とする科学的根拠はありません。私は、専門家会議が4月1日に発表した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」において、最も感染が拡大している東京における3月21日から3月30日のデータに基づいて推定されたRt=1.7を、2週間前の「3月16日の東京の状態」として、ここからの削減率を考えるべきだと思います。

 この場合、
Rt=1.7×(1-0.41176471)=0.99
ですので、「3月16日の東京の状態」を基準にすれば、おおむね「4割削減」(正確には「4.1割削減」)でRt~1<1.0となりますので、これを「4割削減(Rt~1<1.0)」と表記します。

 以上を前提として「8割削減(Rt=0.5)」戦略の「必要性」について検討します。

 まず感染の状況ですが、先述した通り、全国、東京都の新規感染者数とも、4月8日に発効した緊急事態宣言の効果が表れると思われる4月21日以前にピークを迎えていますので、緊急事態宣言「前」にRt<1.0となっていたと考えられます。

 先に示した通り、「3月16日の東京の状態」を基準とすれば「4割削減」でRt<1.0となるので、これは、3月28日の安倍総理の自粛要請、3月30日の小池都知事の自粛要請などを経て、4月上旬には、「3月16日の東京の状態」から「4割削減」が実現していたことを意味します。3月下旬から4月上旬にかけて、「自粛」が一気に進んだことは記憶に新しく、この間「4割削減」が実現したという事は、「体感削減率」的に納得のいくところだと思います。

 従って、4月上旬において既に「4割削減(Rt~1<1.0)」が実現している以上、感染を鎮圧するために、さらに「8割削減(Rt=0.5)」を実現する「必要」はない、ということになります。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 衆議院議員・弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2022年衆院選に当選(新潟5区)。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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