新型コロナ禍の日本に漂う「差別」を正当化する異様な空気感
分断を煽るスローガン「JAPANESE ONLY」が公然と掲げられ……
安田菜津紀 フォトジャーナリスト
「JAPANESE ONLY」を擁護する声

2014年3月8日、埼玉スタジアムのコンコースから観客席に通じる出入り口に掲げられた「JAPANESE ONLY」の横断幕=サポーター提供
「JAPANESE ONLY」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべ、何を感じるでしょうか。
私が真っ先に思い浮かべたのは、2014年3月のJ1リーグ、浦和レッズの試合でした。
試合が行われた埼玉スタジアム2002の浦和レッズのサポーター側に、「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕が掲げられことが問題視され、チームに1試合、無観客試合という処分が下ったのです。国籍や出自に対する差別には、毅然とした態度で臨まなければならないのだ。という投げかけだったのではないかと思います。
ところが最近、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、街中の飲食店に、あれだけ問題視された「JAPANESE ONLY」という言葉が公然と掲げられているのを目にするようになりました。
当然のことながら、日本には様々なルーツの人々が暮らしています。感染防止の観点から見ても、「JAPANESE ONLY」にまったく合理性はありません。
それにもかかわらず、「非常時なんだから当然だ」と擁護する声が飛び交っています。この言葉が、ある種の正当性を持っているかのように、ネット上だけではなく、街中にも堂々と表れはじめているのです。

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