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現代社会は、強権国家、監視国家をどうコントロールすべきか

ウイルスが我々に問いかけているもの (3)

花田吉隆 元防衛大学校教授

世界中で「大きな政府」が主流に

 感染を予防するための規制権限、隔離や休業要請の権限、言うことを聞かないパチンコ店に対する強い規制権限。いや、隔離や休業だけでない。経営困難者に対する緊急融資、生活困窮者への一時金支給からスーパーの入店規制、レジの並び方まで、生活のありとあらゆる面に政府の介入が及んでいく。そのためには財源も必要だ。財政規模が見る間に膨らんでいく。我々は、それをやむを得ないと考える。危機にあっては、国家は強大な権限をふるうべきだ。既に世界の84を超える国で緊急事態が宣言されている。要するに、世界中で「大きな政府」が主流になる。

 危機が起きれば、政府権限は強大になる。歴史はそれを証明する。

 1929年の大恐慌後、米国ではニューディールが主流となった。あの自由主義の国が、政府主導の公共投資を政策の基軸に据える。「大きな政府」の登場だ。

 民主党だけなく共和党までも、国家介入を是とする時代が長く続いていく。世はケインジアンの時代だったのだ。ところが、1970年代の石油ショックを経験し、世界は、かつてないスタグフレーションに見舞われる。政府の公的債務は膨らみ、経済は活気を失っていった。

 1980年代、これではいけないとの考えが生まれる。時代の大きな転換だ。レーガン、サッチャーが主導し、政府の役割が限定されていく。新自由主義が喧伝され、個人の自立、努力がもてはやされた。

 世界をグローバル化の波が襲い、冷戦終結がそれをさらに加速する。やがて、グローバル化は負の側面を持ち、世界は、小さな政府がその是正能力を欠くことを知る。グローバル化の下、勝者と敗者が生まれ、かつてないほどに所得格差が広がった。人々は不満を高め、今のポピュリズムの台頭につながっていく。

 一方、長く主流の座にあった「小さな政府」だが、2008年のリーマンショックがその流れを変える。「大きな政府」の復活だ。リーマンショックという危機の時、国家権限はやはり強化されねばならなかった。各国が一斉に財政支出を増やし、結果、巨大に膨れ上がった財政赤字が、今、各国政府を悩ませる。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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