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コロナで“ロックダウン”に効果。経済活動との両立を図り始めたマレーシア

モスクでの集団感染者を国をあげて徹底追跡。新規感染者を抑え込み次のステージへ

海野麻実 記者、映像ディレクター

“ロックダウン”、モスクでの行事中止を断行

 しかし、この事態を重く見たマレーシア政府の動きは実に早かった。

 この集団礼拝などを感染源とする急速な患者数の伸びが確認された3月15日から一夜明けた16日、高齢のマハティール前首相に変わって、就任したばかりであったムヒディン首相が夜10時に緊急会見を開き、事実上の国境封鎖と活動制限令(一部を除く原則的なロックダウン)開始を宣言。わずか2日後の18日からの施行を決断した。

 ムヒディン首相は、「パニックや不安に陥らず、落ち着いていただきたい。我々は、中国などの国々が思い切った対策を取り、感染を急速に減少させた事例を目にしてきている」と訴え、あらゆる活動が突然制限されるという措置への理解を国民に強く求めた。

 さらに、モスクでの礼拝が集団クラスターとなった事態を重く見て、イスラム教を国教とする国家でありながら、いち早く大胆な対策に打っても出た。

 6割以上がイスラム教徒であるマレーシアでは、祈りへの「アザーン」が街中に鳴り響き、1日5回の礼拝は欠かせないが、モスク内は信者が狭い空間に密集して一定時間滞在し、接触頻度も増える。そのため、金曜礼拝を含むモスクでの全宗教行事が中止されることとなった。

モスクでの“集団クラスター”追跡調査に本腰

 集団クラスターを発生させた大規模礼拝の参加者への追跡調査は困難を極めた。礼拝に参加したとされるマレーシア人の信者約1万4500人は、各地方へと散り散りに帰郷しているうえ、家族や近隣の人々が濃厚接触者となり、感染の拡大に拍車をかけた。マレーシア国内で確認された初の死者である34歳の男性も、このモスクでの礼拝参加者で、持病などは確認されなかったことから、緊迫感は一気に増した。

 さらに、この集団礼拝には海外からの参加者も多く、ブルネイやカンボジア、シンガポール、タイなど25カ国から1500人とされる参加者が既に帰国しており、その後、各国での感染者やその死亡事例などが次々と報告される事態となった。

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筆者

海野麻実

海野麻実(うみの・まみ) 記者、映像ディレクター

東京都出身。2003年慶應義塾大学卒、国際ジャーナリズム専攻。”ニュースの国際流通の規定要因分析”等を手掛ける。卒業後、民放テレビ局入社。報道局社会部記者を経たのち、報道情報番組などでディレクターを務める。福島第一原発作業員を長期取材した、FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『1F作業員~福島第一原発を追った900日』を制作。退社後は、東洋経済オンラインやForbes、共同通信47Newsなどの他、NHK Worldなど複数の媒体で、執筆、動画制作を行う。取材テーマは主に国際情勢を中心に、難民・移民政策、テロ対策、民族・宗教問題など。現在は東南アジアを拠点に海外でルポ取材を続け、撮影、編集まで手掛ける。取材や旅行で訪れた国はヨーロッパ、中東、アフリカ、南米など約40カ国。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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