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外出自粛「要請」はどこまで効果的か

花田吉隆 元防衛大学校教授

「人を介しての仕事」が多い南欧や日本

 より詳細にみれば、「在宅勤務でできない仕事の割合」で、日本(67%)は、上位のギリシャ(68%)やスペイン(同)と並び、英国(56%)米国(58%)を大きく上回る。

 「小売り、輸送、サービス業の割合」でも日本(22%)はギリシャ(23%)、スペイン(24%)と肩を並べ、英国(17%)米国(16%)を引き離す。

 つまり、南欧や日本は、「人を介しての仕事」が多い。

 南欧は非金融機関の雇用者の1/8が観光業だ。建設業も人が多く介在するといえる。これらの業種が多いと「人を介しての仕事が多い」経済構造ということだ。

 テレワークは企業規模と関係する。大企業ほどテレワークが進みやすく、逆に中小はテレワーク導入が進まない。日本の報道では、従業員2万人以上のテレワーク実施率が6割、1~10人規模では1割となっている。

 日本では、テレワークと地域との関連も指摘される。東京のテレワーク実施率は49%だが、これを全国平均にならすと27%まで落ちるという。

 つまり、大企業や大都市はともかく、中小や地方は、テレワークといってもなかなか進まない。「人を介しての仕事」が中心だからだ。

 企業慣行も関係する。この関連で指摘されるのが「ハンコや対面」だ。わざわざ印鑑を押すだけのために出勤が求められるとすれば改善の余地がある。対面でなくとも行政手続きはできるのではないか。政府もようやく見直しに乗り出した。

 さらには、完成品メーカーが働いていれば部品メーカーが生産を止めることはできない、との事情も指摘される。

 日本には、こういった「人を介しての仕事」が多い。つまり、日本には、自粛を要請してもなかなか浸透しない構造的要因がある。

 それにもかかわらず、エコノミスト誌が日本を中位にランク付けられるのは、三点目の「景気刺激策のGDP比」で、他を圧倒して比率が高いからだ。日本(10%)米国(6.9%)英国(3.1%)であるのに対し、上位のギリシャ(1.0%)やスペイン(1.2%)はごく低い数値に留まっている。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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