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岡江久美子さん「無言の帰宅」報道の非情

[187]自治医大付属さいたま医療センター、横倉義武・日本医師会会長会見……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

岡江久美子さんの自宅前の光景

4月23日(木) 後輩のことなどで心配事増える。なぜか放ってはおけない。埼玉県で、自宅待機中だった50代男性がコロナウイルス感染症で死亡。さらに午後、女優でテレビの「朝の顔」だった岡江久美子さんがコロナウイルス感染で死亡とのニュース速報が飛び込んできた。ショックだ。63歳。テレビはその後、このニュースで大騒ぎになっている。

 16時半からFCCJ(日本外国特派員協会)主催のZoomを使ったオンライン記者会見。イギリスのキングス・カレッジ・ロンドン校教授の渋谷健司氏との質疑だ。事前登録しておいたので僕も参加できた。英語での質疑が条件なので、聞きたいことを事前にFCCJに伝えておく。渋谷氏はWHO(世界保健機関)の顧問もつとめているが、日本の狭いタコツボ化している専門家領域だけではなく、外の知見を聞くことが今は重要だ。初期のPCRテストの制限や、イギリスのようなロックダウン(都市封鎖)方式をとらない日本の外出自粛方式などについて意見を聞きたかったので。だが直前に岡江久美子さん死亡のニュースが入ってきたので、そのことも渋谷氏に伝えて感想を聞いた。

 ゴールデンウイーク後に緊急事態宣言を終了する事はやるべきではない、と渋谷氏は断言していた。あとは、「あなたも家にいろ」と。その通りだが、僕もさまざまな条件を熟慮しながら、生活と仕事の環境を選んでいる。とりわけ、この状況下では。

4月24日(金) 岡江ショックでテレビがこのニュースで覆いつくされている。13時45分、大阪の吉村知事が、休業要請に従わずに営業を続けていたパチンコ店の名前を記者会見の場で公表した。僕はこういう流れがあまり好きではない。要請に従わなかった場合の展開を想像してみる。おそらく目に見える形での「力の行使」がいつか出現するのではないか。その際の感情は国民のなかに容易に「感染」する。

 きのう亡くなった岡江久美子さんの遺骨が無言の帰宅をした

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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