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悪いのは「西浦モデル」ではない。何もしてこなかった安倍政権だ

西浦教授の「接触8割削減」を突出させた安倍政権の無策

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

 韓国や台湾、中国、ベトナムと東アジア諸国が次々にCOVID-19の災いから脱出し、以前の経済軌道に戻ろうとしている現在、安倍政権率いる日本では、緊急事態宣言の引きこもり生活があと1か月延びる。

 その判断根拠とされた「接触8割削減」について、首を傾げている人も多いのではないだろうか。

 個人的に言って、コロナウイルス禍以前の人との接触数を覚えていて、その接触数の8割を減らすことに努力を費やす人というのは存在するのだろうか。

 私の場合などはこの1か月まったくと言っていいほど外出していないために「接触9割9分削減」と称しても間違いない。(佐藤章ノート『私はこうしてコロナの抗体を獲得した』参照)

 しかしその反面、テレワークなどはできず、外出しなければ仕事にならない人もたくさんいるだろう。そうなると、これ以上の努力を求められた国民は一体何をしたらいいのだろうか。

 そして、このような社会状態は当然、事前に予想できたはずだ。予想できたにもかかわらず、抽象的な「8割削減」を繰り返し、そのことを第一の判断材料にし続けてきた。

 結果的にあと1か月の引きこもり生活を強いられるわけだが、この政治判断が引き起こす国民個人の生活に及ぼす影響、飲食店などが中心となる街の経済への甚大な影響、そして日本経済への強烈なダメージといったものについて、安倍政権は厳しく責任を問われなければならない。

 ともすれば「誰が政権の座に就いていたとしても同じ結果になるはず。安倍首相だけが無能だったわけではない」という安倍首相擁護論が聞こえてきそうだが、事実はまったくそうではない。

拡大衆院予算委で答弁する安倍晋三首相=2020年4月29日

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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