メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「新しい生活様式」って…安倍政権の言葉の軽さが日本を「目詰まり」させていく

自己矛盾でも前言撤回でも古くさくても、当事者が「新しい」と言えば「新しい」のか?

市川速水 朝日新聞編集委員

真相はタイミングをずらして

 さらに、事の真相を「熱気が落ちついてきたころ」「みんなが薄々分かったころ」「忘れかけたころ」に明らかにするという手法にも秀でている。

 緊急事態宣言の継続が決まった5月4日、専門家会議は「新しい生活様式」とともに、コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査について分析。主要国の中でなぜ日本だけ検査数が少ないのかという疑問に対して、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)が世界的に流行した際、「検査を担う地方衛生研究所の体制拡充を求める声が起こらなかった」と、検査体制が元々、不備だったことを初めて認めた。

 専門家会議がPCR検査の相談をする体温などの目安を示したのが2月中旬。以来、患者や医師が検査を希望してもなかなか受けられない問題は、とうに社会問題になっていた。

 PCR検査については、日本が10万人当たりの検査数が188件。イタリアやドイツの約3000件、シンガポール約1700件、韓国約1200件などに比べて極端に低い。

 その理由について、2月以来、4月7日の緊急事態宣言後も、その後も、国会などで指摘されてきたのに、国民の私権をさらに制限する緊急事態宣言延長の日に真相がポロッと明らかになったのだ。

 しかも、安倍首相は5月4日当日の記者会見で、検査数の少なさについて「首相が検査を増やせと指示しても増えないのは、本気で増やそうとしなかったからではないか?」という質問に対して、こう答えた。

 「本気でやる気がなかったわけでは全くない。PCR(検査)をやる人的な目詰まりもあった」

拡大記者会見で、プロンプターに視線を送る安倍晋三首相=2020年5月4日、首相官邸

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

市川速水の記事

もっと見る