メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

トランプ外交、チグハグな中国包囲網

第6部「トゥキディデスの罠―経済ナショナリストに率いられた大国間競争」(3)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

「ナマステ・トランプ」で米印関係強化も

 トランプ政権が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想において、同盟国・日本、豪州と並んでとくに重視しているのが、このインドとの関係だ。

 トランプ大統領は2020年2月、就任後初めてインドを訪問し、ニューデリーの迎賓館「ハイデラバード・ハウス」でモディ首相と会談した。両首脳は米印関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げし、米国がインドに軍用ヘリコプターなど30億ドル超の防衛装備品を売却することでも合意した。

 トランプ氏は会談後の共同発表で「我々はFOIPをより確かなものにするため、対テロ作戦やサイバー、海洋安全保障の協力を拡大してきた」と強調し、「我々2カ国は、常に民主主義や自由、個人の権利、法の支配を共有して団結している」と強調。モディ氏も「米国の最新装備品によってインドの防衛力は高まってきた。インド軍と米軍との共同訓練も数多く行っている」と語った(The White House. “Remarks by President Trump and Prime Minister Modi of India in Joint Press Statement.” 25 February 2020.

 インドとの連携を深める米国の念頭にあるのは、東南アジア諸国などにインフラ投資で影響力を強める中国の存在だ。南アジアが専門のヘリテージ財団のジェフ・スミス研究員は「両国は『一帯一路』への懸念を共有している。トランプ、モディ両政権はこの3年間で関係を深めてきた」と語る(ジェフ・スミス氏への取材。2020年2月19日)。

 トランプ、モディ両氏の個人的な関係も深まっている。

拡大ホワイトハウスに到着したインドのモディ首相(右)を出迎えるトランプ大統領=ワシントン、ランハム裕子撮影、2017年6月25日

 トランプ氏はモディ氏とのニューデリーでの正式な会談の前日、モディ氏の出身地グジャラート州のアーメダバードにある世界最大級のクリケットスタジアムで「ナマステ・トランプ」と銘打ったイベントにモディ氏と参加した。

 アーメダバードの市内はトランプ氏の訪問に歓迎一色で至る所にトランプ、モディ両氏の写真をあしらった大看板が掲げられた。両氏がスタジアムに入場すると、約10万人の観衆は立ち上がって「ナマステ・トランプ!」と歓声を上げた。トランプ氏は大観衆を前に、「米印両国はともに我々の主権、安全保障、そしてFOIPの地域を守る」と訴えた(The White House. “Remarks by President Trump at a Namaste Trump Rally.” 24 February 2020.)。トランプ、モディ両氏は何度も抱き合い、2人の友情関係をアピールした。

 米国でも2019年9月、両首脳はヒューストンで約5万人の在米インド人らが集まった「ハウディ・モディ」というイベントに一緒に参加しており、今回はそのインド版の集会といえた。

 ただし、インドは米国の思惑とは裏腹に、なかなか一筋縄ではいかない相手である。

・・・ログインして読む
(残り:約3027文字/本文:約6226文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

園田耕司の記事

もっと見る