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トランプは中国の人権問題に関心が薄い

第6部「トゥキディデスの罠―経済ナショナリストに率いられた大国間競争」(4)

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

台湾問題に口つぐむトランプ氏

 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のボニー・グレイサー上級顧問はトランプ政権が台湾との関係強化に力を入れる理由について、「中国の台湾に対する政治、経済、軍事的圧力に対するリアクションとして行われている」と語る(ボニー・グレイサー氏へのインタビュー取材。2019年4月29日)。

 グレイサー氏は、中国の習近平政権が台湾の蔡政権に対する外交圧力を強めていた時期に、トランプ政権が発足した点を指摘。ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ランドール・シュライバー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)、マット・ポッティンジャー国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長ら対中強硬派が政権入りし、台湾に対する中国の外交圧力に対抗するため、台湾支援を強化し始めた、とみている。

 トランプ政権の高官が直接動いた事例もある。

 米ホワイトハウスのアジア政策のトップ、ポッティンジャー氏は2019年3月、台湾との外交関係を結ぶ太平洋の島国ソロモン諸島を訪れ、台湾外交部の徐斯倹・政務次長(外務次官)と会談した。駐パプアニューギニア米国大使館がフェイスブックに両氏が一緒に収まった写真とともに「ポッティンジャー氏はソロモン諸島において同盟国と友好国と一緒に『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』のために取り組んでいる」と投稿した。

 両氏が野外で視察している様子を撮影した写真を使ったのは非公式な会談である点を強調し、中国を刺激しないようにする意図があるとみられるが、米台高官の会談は極めて異例といえる。

拡大ホワイトハウスで記者会見に出席するマット・ポッティンジャー大統領副補佐官(左)=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年1月31日

 だが、それでも中国の外交圧力を完全にはね返すことはできていなかった。ソロモン諸島は半年後の9月、台湾と外交関係を断絶し、中国と国交を結ぶ方針を決めた。

 一方、トランプ政権全体が台湾を支えるという考え方で一致しているかというと、そうとは言い切れない。最大の不安要因は政権トップのトランプ大統領だ。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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