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「ウイルスがすぐそこにいる」というコロナ時代の新たな日常

花田吉隆 元防衛大学校教授

海外では規制緩和の動きが急だが…

 ここにきて海外で制限緩和の動きが急だ。ニュージーランドや韓国は、顕著な成果ありとして活動を再開する。感染制圧に依然不安が残るイタリア、スペイン、ドイツ、フランスでも、学校、経済活動を再開するという。

 しかし、5月の5連休に多くの人が万里の長城を訪れると報道された中国では、旅行者数(連休期間中)が対前年比3割、地下鉄利用者数(4月最終週)が北京4割、上海6割でしかなかった。ドイツは、4月16日、実効再生産数が0.7まで減少したことを踏まえ制限を緩めたが、27日にはすぐ1.0まで戻ってしまい、あわてて学校の本格的再開を先送りした。

 制限緩和といってもこれが実態だ。海外が皆、制限緩和に動く中、日本だけが緊急事態宣言延長か、と不満に思う必要はない。海外も日本も事情は似たりよったりだ。「ウイルスは常にそこにいる」のだから。

 では、ワクチンが開発され行き渡った今後1、2年の後、我々は元の生活を取り戻せるのか。我々は「昨日の世界」に戻るのか、それとも新しい「明日の世界」に生きるしかないのか。

 過去、感染症の蔓延は社会を変えてきた。

 ペストは、中世の欧州社会を変えた。封建制が終止符を打ち、教会の権威が失墜、それとともに近代が始まった。天然痘は、新太陸の文明を滅ぼし、代わってスペインが支配権を把握。欧州勢が新大陸から次々と金銀を持ち帰り、それが絶えることない欧州の戦争に使われた。19世紀の欧州で、コレラの蔓延により、人々は上下水道を整備することの必要性を認識したが、これは都市環境を劇的に改善することになる。その結果、それまで農村からの人口流入なしに持続不可能だった都市が自立、やがて都市の農村に対する優位と共に、工業化、都市化が猛烈なスピードで進行していった。

 こういう流れを見れば、今回の新型コロナ蔓延が世界を変えないわけがない。不幸にして、我々は、こういう世界史的変革の時期に遭遇してしまった。「昨日の世界」が戻ってくることはなく、明日からは、今までとは違う別の「新しい世界」で暮らさなければならない。それが「新しい生活様式」「新しい日常」の意味なのだ。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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