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日本の宿痾「あいまいな構造」を拡大、強化した政治・行政改革

神津里季生・山口二郎の往復書簡(2) あいまいな構造が日本を覆ったわけ

山口二郎 法政大学法学部教授(政治学)

強い権力を作り出すために制度改革を推進

 一連の制度改革には、十分な理由があったと今でも思っています。冷戦の終わり、バブルの崩壊、高齢化と人口減少など、1990年代に進んだ巨大な環境変化に対応して、戦後日本の社会経済システムを転換しなければならないという問題意識は、当時、保守、革新にかかわらず、また経済界、労働界の立場を超えて共有されていました。

 にもかかわらず、新しいシステムを立案、決定すべき政治、行政の体制は、利益誘導政治や旧套墨守の縦割りにからめとられ、硬直化していました。だからこそ、改革が必要とされたのです。

 そこで追求されたのは、求心力の強化でした。政党であれ、行政府であれ、各論反対を乗り越えて必要な政策転換を実現するために、全体を見渡して国益を認識し、政策を実現するシステムを作るべく、あえて強い権力を作り出す制度改革を行いました。あいまいな構造を打破し、責任の所在を明確にしたうえで、大胆な政策を実現することが当初の意図でした。

永田町と霞が関の力関係を変えただけ

 その結果、どうなったのか。いま、行政府においては首相官邸に各省がひれ伏し、自民党においては反主流派が風前の灯火となり、国会においては野党が無力のままです。30年かけて目指してきた制度改革の帰結が、まさに安倍政権の下で起きているということになります。ただ現状が、目指してきた、全体を見渡して国益を認識し、政策を実現するシステムになっているかというと、そうではありません。

 確かに安倍首相に権力が集中していますが、

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筆者

山口二郎

山口二郎(やまぐち・じろう) 法政大学法学部教授(政治学)

1958年生まれ。東京大学法学部卒。北海道大学法学部教授を経て、法政大学法学部教授(政治学)。主な著書に「大蔵官僚支配の終焉」、「政治改革」、「ブレア時代のイギリス」、「政権交代とは何だったのか」、「若者のための政治マニュアル」など。

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