病院でも家庭でも、女性は 最前線でCOVID-19 と闘っている。また、各国、各地域における活動が世界全体の利益につながることも分かっている。この世界的大流行に関しては、世界中が同じ困難な状況にあるということは明確であり、世界が一丸となって行動しなければ、この困難に打ち克つことはできない。
国際労働機関(ILO)によると、全世界の無償介護労働時間の76%を女性が担っている。患者の世話や、ウイルスの蔓延(まんえん)防止に関しては、より大きな役割を担うことになるはずだ。
女性が自身の身を守りつつ、その役割を遂行するために不可欠な物資を供給し、支援をする必要がある。それは正しいことであるだけでなく、女性が人々のケアをし、命を救う活動を継続できるという点で効率的で賢明な方法でもある。
医療崩壊が危ぶまれるなか、感染者が在宅で介護されるケースも増え、女性の役割に負荷がかかり、感染のリスクによりさらされている。
さらに、COVID-19 のパンデミックと闘う中で、克服すべきもう一つの“疫病”がある。それは、女性に対する暴力と、女性を貧困状態に追い込み、必要なサービスさえ入手できなくする不平等という病だ。
都市封鎖と隔離は、COVID-19 を抑圧するためには不可欠であることは明白であるが、同時に虐待するパートナーと閉じられた空間に女性たちを追い込むことにもなりかねない。ここ数週間で、多くの国でDVの報告件数が劇的に増加しており、幾つかの国では支援を求める女性の数が倍増している。
長年の戦争と貧困によってすでに悪化している人道危機的状況は、さらに悪化している。女性とその子どもたちが虐待について報告したり、安全でいられる場所や避難先がほとんどなくなってしまった。
このウイルスの撲滅に根本的に取り組むためには、女性の健康と権利を促進し、保護する必要がある。それは、女性自身の健康と幸福のためでもあるとともに、女性が他の人々の健康を促進し、保護することに繋がるのだ。
そのため、 COVID-19 に取り組むための「世界人道支援計画」では、最も脆弱(ぜいじゃく)な状況において女性の健康と権利を守るため、具体的な措置を定めている。
例えば、女性や少女が安全に利用できる手洗い施設の設置や、女性の健康を守るために必要な医療機器の供給、また最も必要とされている場所に救援者や物資を届けるといった対応を支援している。
さらにこの計画には、COVID-19のパンデミックにより、女性と少女が男性に比べてより大きな影響を受けているとともに、ウイルスを撃退する力を持っていることが言及されている。国連人口基金(UNFPA)はこの計画を基に得られた支援を用いて、現地の女性支援団体と協力してセーフスペースを設けるなど、女性と少女のニーズに応える活動を優先的に行う予定だ。
こうした対応は、ドナーの支援があってこそ可能となる。そして、その支援はまだ十分とは言えない。既存の人道支援や難民支援に対する拠出を維持しつつ、COVID-19への人道支援に対しても、さらなる協力に期待したい。
さらに、各国政府に対して、COVID-19に対する国家の対策に、女性に対する暴力の予防・救済策をしっかりと組み込むよう呼びかけたい。