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「三猿政権」が検察庁法改正へ暴走する

見ざる、聞かざる、言わざる。コロナ危機下の火事場泥棒を食い止める方策はあるのか

市川速水 朝日新聞編集委員

 コロナ禍の下での「火事場泥棒」と言われようが、規定の解釈変更が「後付け」と疑われようが、反対を訴えるツイートが何百万に上ろうが、やりたいことはやる――。

 政府の判断次第で検察幹部の定年延長を可能にする検察庁法改正案が委員会審議に入り、本会議採決に向けて強行突破する道筋が見えてきた。

 新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言が続くなかで、なぜこの不要不急の法案審議を急ぐのか? なぜ国会答弁が迷走し続けたのか? 検察の独立性をどう担保するのか?

 これらの点については、野党もメディアも強く疑問を指摘し続けてきた。

 しかし、それらは国会で政権・政府から軽く聞き流され、数々の疑惑を置き去りにしたまま着々と実現へ向かっていく。この現象は何だろう。

 「国会軽視」「どさくさ紛れ」という批判も渦巻くが、批判の声を上げれば、同じ土俵に乗ったその言葉すら軽い印象を与えて一緒に流れて行ってしまう。

 安倍政権下では、ずっとそうだった。森友学園、加計学園に便宜を図っていたのではないかという疑惑、桜を見る会での支持者優遇疑惑。老後は2000万円が必要だと指摘した政府の分析を握りつぶした件、公文書を改竄したり、処分したり、元々なかったものとしたりした件。

 単なる「杜撰(ずさん)」「常識外れ」でまとめられるものではなく、すべてが政権に有利に働いたり、不利な状況に追い込まれないよう周辺を忖度させたりする効果を伴うのが「疑惑」の特徴だ。

 これは、自分に都合の悪い事実を「見ない」、まっとうな批判を「聞かない」、理由の本音を「言わない」、を貫徹させてこそできる「すご技」ではないか、と思うようになってきた。

拡大衆院予算委に臨む安倍晋三首相=2020年5月11日

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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