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コロナ禍から浮かぶ、民主主義と「学費」の関係(上)

「若者と政治」に転機が訪れた

松下秀雄 「論座」編集長

日本記者クラブ主催のオンライン記者会見の画面。「高等教育無償化プロジェクトFREE」の岩崎詩都香代表(上段右)と、「一律学費半額を求めるアクション」の山岸鞠香代表(上段左)が臨んだ=2020年5月1日拡大日本記者クラブ主催のオンライン記者会見の画面。「高等教育無償化プロジェクトFREE」の岩崎詩都香代表(上段右)と、「一律学費半額を求めるアクション」の山岸鞠香代表(上段左)が臨んだ=2020年5月1日

 「政治に無関心」などといわれることが多い若者たちが、政治を動かしている。

 新型コロナの感染拡大で困窮する学生の暮らし。のしかかる授業料など学費の負担。たまりかねた学生たちが声を上げると、野党は学生支援法案を国会に提出。腰が重かった政府も支援策を講じる方針を固めたが、対象が限られているため、学生たちはなお声を上げ続けている。

 昨年は、高校生たちの声に押され、大学入学共通テストで予定していた英語民間試験活用や記述式問題導入の見送りが決まった。私はこの動きをとりあげ、民主主義について考えるルポ(朝日新聞の連載「カナリアの歌」第5回=1月5日付朝刊)を書いたが、立て続けに若者が「政治力」を発揮する展開に、少々驚いている。ひょっとすると、若者が政治の主役に躍り出る新しい時代の幕開けをみているのかもしれない。

 なかでも今回、注目しているのが、学生たちが学費に焦点をあてたことだ。彼ら、彼女らの話を聞くうち、高額な学費は、日本の民主主義を立ち枯れさせてきた病根のように思えてきたからだ。

 どういうことか。まずは、この間の動きの報告から始めたい。

「どうやって生きれば」「水商売しか」

 5月6日、立憲民主党、国民民主党などの野党共同会派と共産党による「『#つくろう学生支援法』WEBヒアリング」。感染拡大を避けるため、ツイキャスを使って催したこの会議に、大学、大学院、専門学校の学生や、これから進学をめざす高校生が、コメントやメール、電話で声を寄せた。

 「バイト先が休業し、収入がありません。母子家庭で、母とは不仲です。配られる予定の1人10万円は、『実家の冷蔵庫を買う』と、世帯主の母から意気揚々と連絡がきました。この先、どうやって生きていけばいいのでしょうか。せっかく努力して入った大学も、このままでは辞めざるをえません」

 「4月に世帯分離したばかりの高校3年生です。虐待を長く受けていたため、親にはもう頼れない身になってしまいました。バイトの募集もなく、ホームの女の子と『どうしてもお金がないと、水商売しかないね』という話になり、とても悲しい気持ちになりました。進学を諦めなくてはならないのでしょうか」

 切ない訴えに、読み上げる議員が声を詰まらせる。

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筆者

松下秀雄

松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長

1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。

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