メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

「感染者数」より「超過死亡」に注目せよ!~東京は6週間で300人

世界の潮流である「超過死亡」を、なぜ日本のメディアは無視するのか

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

コロナ患者を受け入れた病院は前年比億単位の減収

 病院を襲うリスクはまず直接的なもの、すなわち院内感染だ。

 しかし、その院内感染の元をたどると、入院しているCOVIDー19患者からではなく、むしろ街中で感染した人が院内に持ち込んで広がっていったというケースが少なくない。だが、これがいったん広がると、少ないところで20人から30人、多いところでは100人から200人という感染者が発生し、病院は大きいダメージを受ける。

 その間、救急医療は止めざるをえなくなり、外来診療も受け付けることができない。

 「3月のなかばくらいに、コロナの発熱があっても病院が全然探せない時期がありました。受け入れ先がまったく見つからない。これは、こういう事情があったんです」

 そして、病院経営を厳しいボディブローのように苦しめる問題が収益減少だ。

 「病院の経営問題は深刻な問題です。コロナ患者を積極的に受け入れた病院は経営的に苦しんでいます。これを今何とかしないと、第2波が来るという時に、矢尽きて刀折れという状態になってしまうんです」

 病院経営者とコミュニケーションを取っている保坂氏によれば、COVIDー19陽性の疑いのある患者が入院して8人部屋しか空いていなければ一人でその部屋を使ってもらうしかない。個室に入る場合でも特別に個室料金を払ってもらうわけにはいかない。症状が改善しても陰性になるまでは退院できず、ほとんどのケースで長期入院になる。

 「コロナ患者を積極的に受け容れた病院は、現在、どこも前年比億単位の減収という経営難に陥ろうとしているんです。医療機関の経営に対するバックアップは世田谷区としてできることは積極的にやっていこうと思っていますが、国にも求めていきたいと考えています」

 COVIDー19との戦いの最前線となった病院の経営が苦難に陥っているということは、もちろん世田谷区だけの問題ではない。

 5月1日、日本病院会や全日本病院協会などの4病院団体協議会と日本医師会は、加藤勝信厚生労働相に対し、地域医療の崩壊を防ぐために国が経営支援に力を入れるよう要望書を提出した。

拡大参院予算委で答弁する加藤勝信厚労相=2020年3月16日

 COVIDー19感染症の患者を受け容れている病院は、保坂氏が指摘した、その患者に対する看護体制そのものが生む経営圧迫要因を抱えているだけではなく、別の疾患で来院する患者の足も遠ざかるという責め苦を負っている。この要因によって、全国どの病院や開業医も患者数が大幅に減り、経営を厳しく圧迫し続けている。

 特にCOVIDー19感染者の波が拡大し続けた4月以降は外来、入院ともに減少が激しく、診療報酬の支払時期に当たる6月以降の病院経営には深刻な影響が現れると不安視されている。この月は病院職員の賞与月に当たるため、経営者は相当頭を痛めている。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

佐藤章の記事

もっと見る