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歴史に唐突に現れたナチズム モザイクの一片・古都ニュルンベルクへ

【2】ナショナリズム ドイツとは何か/ニュルンベルク① プロパガンダの跡

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

ゲルマン国立博物館へ

 党大会のためにナチスが郊外に築いた巨大な遺構を訪ねるアポイントは翌日だった。駅そばのホテルに荷物を預けると、城郭都市の趣が残る中心街へ向かう。目当てはゲルマン国立博物館。ホームページには「ドイツ語圏の文化史の博物館として最大」とある。

拡大ゲルマン国立博物館の正面

 例えば「日本のナショナリズムを取材する」という外国のジャーナリストが、戦時中の遺構や史料館だけ回ったと聞けば、私は鼻白むだろう。ドイツのナショナリズムを取材する私自身がそうならないよう、広くドイツの歴史に触れておきたかった。

 車や路面電車が行き交うニュルンベルク中央駅前の通りに沿って堀があり、石橋を渡って城壁のトンネルをくぐる。歩いて数分で、モダンなゲルマン国立博物館に着く。ちょうど日曜で、年配者や小中学生ぐらいの団体客で賑わっていた。

 時系列の展示で最初に現れる古代は、日本の歴史博物館のようだった。土器、青銅器、高床式建物の模型、色とりどりの小石をつなぐネックレス……。

 だが、ゲルマン民族大移動の説明を経て中世へ移ると、聖母やキリストの磔刑(たっけい)の像と絵に代表される宗教色の強い展示に圧倒された。扉を押して進み、

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)

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