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「#国民投票法改正案に抗議します」拡散を機に改憲手続きをとことん考えた

「権力による、権力のための改憲」を招く、その構造とは

松下秀雄 「論座」編集長

 憲法改正の手続きをさだめる国民投票法の改正案に対して、ツイッター上で「#国民投票法改正案に抗議します」というハッシュタグが急速に拡散し、一時、トレンドの1位になった。自民・公明両党が、今国会での成立をめざす方針を確認したことが伝えられたためだ。

 私はつい最近まで、主に改憲手続きを担当する編集委員(平たくいえばシニアの記者)を務め、いまもこの問題をフォローしている。報道各社をみわたしても、これを専門とする記者はほとんどいないはずだ。だから、さんざん考えた結果を言っておかなければならないと思い、筆をとっている。

 どう考えても、この改憲手続きは問題がありすぎる。しばしばテレビCMの問題がとりあげられるけれど、決してそれだけじゃない。

 このルールのもとで改憲を進めれば、よほど慎み深い政権与党でない限り、「権力による、権力のための改憲」になるおそれが大だ。安倍政権に、その慎みを期待できるだろうか。

 どういうことか。説明していこう。

憲法改正を求める集会で、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいという安倍晋三首相のビデオメッセージが流された=2017年5月3日、東京都千代田区平河町拡大憲法改正を求める集会で、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいという安倍晋三首相のビデオメッセージが流された=2017年5月3日、東京都千代田区平河町

コロナ禍の中、「不急」の改正を急ぐ愚行

 日本の改憲ルールの本質的問題に進む前に、与党が成立を急いでいる改正案に触れておきたい。

 これは、ショッピングセンターなどに共通投票所を設けられるようにすることをはじめ、有権者が投票しやすくするための改正案だ。選挙ではすでにできるようになっており、これじたいはどうってことのない内容だ。野党も異論は唱えていない。

 けれど、「不要」ではなくても、絵に描いたような「不急」の改正なのだ。国民投票の実施が決まってから改正しても、何の問題もない。それなのに与党側は、本質的な問題に手をつけないまま、ここだけ取り出して改正を急いでいる。もしも「この改正で改憲手続きは整った」とみなし、改憲へと見切り発車するなら、ろくでもないことになる。

 しかも、いまこの時期である。

 コロナ対策に全力を傾注するべきなのに、国民を守るための対策があれもこれも手遅れになっているのに、ドサクサにまぎれて何をやろうとしているのか――。そんな憤りを招くのは当然のこと。民意を置き去りにする政治の姿勢が問われているのである。

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筆者

松下秀雄

松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長

1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。

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