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「超過死亡グラフ改竄」疑惑に、国立感染研は誠実に答えよ!

不可解なグラフの変化を検証するため、国立感染研は原数字などのデータを公開せよ

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

PCR検査による「感染者数」より実態に近い「超過死亡」

 最初に超過死亡統計の仕組みやコロナウイルス対策上の意義などを説明し、次に「変事」発生の原因について、わかっていること、わからないことを整理してお伝えしよう。

 超過死亡の数字は、もともとインフルエンザ流行による死者数を推計するための指標。インフルエンザがはやっていない時に予測される死者数をベースラインとし、流行時の実際の死者数と比較する。

 流行時に膨れ上がるこの死者数が超過死亡で、インフルエンザウイルス感染が原因による死亡や主に肺炎による死亡を意味している。もう少し説明を加えよう。

拡大図A。国立感染研が5月7日に公表
 図A(5月7日公表)にある「実際の死亡数」の折れ線グラフを見ると、今年に入ってからの第8週(2月17日-23日)から、赤い折れ線グラフで表された「閾値」(許容範囲)を超える超過死亡が現れ始め、次の第9週(2月24日-3月1日)から第13週(3月23日-29日)にかけて大きく膨れ上がっている。

 予測される死者数の「ベースライン」をはるかに超えるこの超過死亡は一体何が原因なのか。

 ここでもうひとつのグラフ(図C)を見ていただきたい。東京都感染症情報センターが出している東京都感染症週報の「インフルエンザ定点」のグラフだ。少し見にくいが、赤い折れ線グラフが今年1月初めから第20週(5月11日-17日)までのインフルエンザ流行の具合を表している。

拡大図C

 これを見ると、超過死亡が出た第8週、大きく膨らんだ第9週以降はインフルエンザの流行はほとんど収束している。

 それでは、インフルエンザ以外による超過死亡の原因は何だったのか。今のところ、コロナウイルスによる肺炎以外には考えられない。

 超過死亡統計はもともとインフルエンザの流行による「社会へのインパクト」を計る目的でWHO(世界保健機関)が推奨したもので、日本では国立感染研が1998-99年の冬から導入している。

 元来インフルエンザの「社会へのインパクト」を計る目的を持ったものだが、今年の場合、インフルエンザが収束してコロナウイルスが猖獗を極めたために、極めて少ないPCR検査による感染者数よりもこちらの超過死亡統計の方が、隠れたコロナウイルスの影響をよりリアルに表しているのではないか、と考えられている。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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