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「超過死亡グラフ改竄」疑惑に、国立感染研は誠実に答えよ!

不可解なグラフの変化を検証するため、国立感染研は原数字などのデータを公開せよ

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

5月7日公表のグラフと5月24日公表のグラフの変化

 各国政府が発表しているコロナウイルスによる死亡数は、どこでも疑問符がつけられている。実際にはもっと多いのではないか、と疑われているのが実情だ。

 このため、世界の医学界が注視しているイギリスの医学誌「ランセット」は5月2日に、「COVIDー19:毎週の超過死のリアルタイム監視の必要性」という論文を掲載した。超過死亡を「リアルタイム」でチェックし、対策に反映させることの重要性を説いたものだ。

拡大図A。国立感染研が5月7日に公表
 国立感染研が5月7日に公表した超過死亡統計のグラフ(図A)に実際のコロナウイルス対策の日付を落としてみると、PCR検査がわずかながらも増加に転じた3月下旬のタイミングも、緊急事態宣言が出された4月上旬の日付も、対策としては決定的に遅れていたことがわかる。

 国立感染研はグラフの基となった原数字を公表していないために正確な数はわからないが、図Aのグラフをよく見ると、2月17日から3月29日の6週間にかけて1週間あたり50人ほどの超過死亡が認められる。つまり、6週間で合計300人ほどの超過死亡が東京で見られたということだ。

 警察庁によると、路上や自宅から病院などに搬送した後に死亡し、死後検査でコロナウイルスの感染が明らかになった人が、3月中旬以降、全国で23人いた。このうち半分以上が東京都内での出来事だ。

 東京都監察医務院が不自然死として23区内で調査した件数は、速報値で3月中に1120件あった。日本法医病理学会が4月中旬に監察医などに実施したアンケート調査によれば、大学法医学教室などが保健所に依頼した遺体のPCR検査23件のうち12件が断られた。

 これらの断片的な情報をつないでみると、カウントされていないコロナウイルスによる死亡者数は、政府が公表している死亡者数830人(5月24日午前12時現在)を相当数上回るのではないか、と考えられる。

 その予測を反映したものが、国立感染研が公表し続けてきた超過死亡グラフ(図A)だった。

 ところが、5月24日になって新たに国立感染研のHPに公表された同じ時期の超過死亡グラフは、それまでとはまったく違うもの(図B)に変わっていた。

拡大図B。国立感染研が5月24日に公表

 24日公表のグラフ(図B)を見て驚くのは、第8週から第13週にかけて超過死亡がほとんどなくなっていることだ。7日公表のグラフ(図A)であれだけ膨らんでいたコブのような超過死亡の膨らみが消え、反対になだらかに下降している。

 こんなことがどうして起こったのだろうか。

 国立感染研が24日にHPで公開した説明文を読むと次のようなことが考えられる。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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