神津里季生・山口二郎の往復書簡(3)将来展望を切り拓く政治は望めないのか
2020年05月28日
私は法政大学の山口二郎教授との間でここ数年、「一強政治の弊害に歯止めをかけるためには旧民主党勢力が一体となって力を持たなければならない」という思いを共有しつつ、幾度となくやりとりをしてきました。善後策も模索してきました。しかし、思うに任せない状況が続くなかで今回のコロナ禍を迎えてしまいました。日本の政治はいったい何をしようとしているのか? どこへ行こうとしているのか? 社会におけるあらゆる事柄がこれまでの延長線上では対処不能なことは明らかです。長期戦の先のトンネルの出口を渇望し、山口教授と(できれば2週間おきくらいに)書簡の往復をお願いした次第です。今回はその第2回目です。
山口二郎先生
先日は、私の1回目の書簡に対して、早速のご返信をいただきありがとうございました。
一つひとつの論点が、全くにして我が意を得たりの思いでした。それから2週間がたちますが、ここのところの新型コロナウイルス感染の収束傾向とは裏腹に、コロナ対策や未解決の問題は依然として深く潜ったままで、さらに深刻さを増しているように思われます。
先生のおっしゃるように「嘆くだけでは愚か」です。「次の改善」に向けて、今しばらく書簡の往復を続けさせていただきたいと思います。
コロナ自粛にうんざりしている世の中の雰囲気に合わせるように、緊急事態宣言が解除されました。一区切りつけたいという人々の思いが強いことは事実であり、それに対してそれなりの答えが出されたようにも見えます。
しかし、これまでの「その場しのぎ」の繰り返しによって、本質的な問題が置き去りになっていることを見過ごしてはならないと思います。「なんとなく落ち着いた」などというムードができあがってしまうと、命の危険、生活の苦境、経済の没落といった負の連鎖は未解決のまま、本当の意味での出口を見失ってしまうことになると思うのです。人々の心の底に漂っている不安はまだ全く解消されていません。
甲子園の夏の大会の中止が決定されました。夢を追い続けてきた球児たちに対しての最終宣告でした。3年生にとってはこれで終わりです。国体は既に中止が決定されていましたから、予定通りという結論を出すには難しい状況だったかもしれませんが、実際に球児たちの落胆の表情を見たときに、私自身は打ちのめされる思いでした。
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