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民間軍事会社(PMC)に注目せよ

規制をめざす国際的な取り組みもあるが日本はまったく無関心

塩原俊彦 高知大学准教授

 金銭などの便益と引き換えに戦争に参加する兵士、傭兵は昔からヨーロッパにいた。スイス人の傭兵は勇猛果敢で知られ、それがいまでもバチカン市国を守る立場につながっている。これを範としてつくられたドイツの傭兵団が「ランツクネヒト」だ。ロシアには、コサックという傭兵がロシア帝政を長く守ってきたという歴史がある。

 そして、21世紀の現在でも、民間軍事会社(Private Military Companies, PMC)とか、民間軍事保安会社(Private Military and Security Companies, PMSC)と呼ばれる「傭兵集団」がいまでも存在する。

問題化するロシアのPMC

 2019年12月、キプロス沖のガス田開発をめぐる利権争いにトルコの承認する北キプロスを通じて加わろうとしているトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、リビア内戦への派兵を決めた。国連の認めるシラージュ暫定政権と東部ベンガジを拠点とするハフタル司令官の武装勢力「リビア国民軍」との対立がつづいているが、トルコは暫定政権側を支援している。

 そのエルドアンは2020年2月、ロシアの国防相のセルゲイ・ショイグと参謀総長のヴァレリー・ゲラシェンコが、ロシアのPMCをコントロールして内戦でリビア国民軍を援助しているとして非難した。具体的には、「クレムリンの料理番」として知られるエフゲニー・プリゴジンが率いる「ワーグナーグループ」がやり玉に挙がった。

拡大トルコのエルドアン大統領=2019年11月13日

 実は、同グループはリビアに顔を出す前にも、シリア、ウクライナ、中央アフリカ共和国でも戦闘行為や軍事教練などにかかわってきた。ウラジーミル・プーチン大統領は国防省に属する正規軍が直接関与すると国際的な非難にさらされることから、同グループなどの複数のPMCを戦闘地域などに派遣してロシア政府の権益の維持・拡大に利用してきたのである。ゆえに、2020年1月11日、プーチンはリビアにおけるロシアのPMCの関与は認めたものの、政府とPMCとの関係は否定した。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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