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検察幹部を国会同意人事に!

検察への民主的コントロールをどう制度として実現するか

登 誠一郎 元内閣外政審議室長

1.検察に対する民主的コントロールと検察の独立性・中立性

(1)5月27日に田中均氏が論座に寄稿した『検察庁法改正問題の本質を見よう』において、「検察権力の恣意的行使を防ぐ公平な枠組みが必要であり、その際、検察に対する民主的コントロールと政治権力からの独立性・中立性の担保という二つの側面は相矛盾する場合も多いので、その政治的解決のために必要なのは、政治家と官僚双方の矜持である」旨を指摘している。

 これは正に現在の検察制度の抱える問題点を明確に描き出したものであり、全面的に同意しうる。さらに田中氏は、結論として、官邸による恣意的人事の疑念を払しょくするためには、より適切な人事評価と透明性をもった人事が必要と述べている。

(2)この点は、民主党政権が設立した「検察の在り方検討会議」が2011年3月に提出した報告書において提案されている「より適切な人事評価とこれに基づいた幹部人事」と同趣旨である。この問題は、東日本大震災後の復興問題への対応や総選挙後の政権の交代によって、具体的な検討が進まなかった。

 しかるに政府は、本年になってから突然、余人をもって代えがたいとして、従来の法解釈を変更して黒川検事長の定年延長を閣議決定し、さらにそれを制度化するための検察庁法改正案を提出した。既に多くの人が指摘、批判したように、この法案は内閣による検察庁に対する民主的コントロールではなく、恣意的な関与を可能にする恐れが強く、全く不適切な法案と言わざるを得ない。

拡大⾞から降りて無⾔で⾃宅に⼊る東京⾼検の⿊川弘務検事⻑= 2020年5⽉21⽇、東京都⽬⿊区

(3)検察に対する民主的コントロールと検察の独立性、中立性の担保という命題は、換言すれば、「検察の独立性、中立性を失うことなく、如何にしてこれを民主的にコントロールするか」ということである。そのためには、「明確な人事評価基準と透明性のある人事」は、必要条件であるが、その抽象さも相まって十分条件ではない。

 やはり民主的コントロールのためには、制度的な担保が必要ではないか。

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筆者

登 誠一郎

登 誠一郎(のぼる・せいいちろう) 元内閣外政審議室長

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、外務省入省(1965)、駐米公使(1990)、ロサンジェルス総領事(1994)、外務省中近東アフリカ局長(1996)、内閣外政審議室長(1998)、ジュネーブ軍縮大使(2000)、OECD大使(2002)を歴任後、2005年に退官。以後、インバウンド分野にて活動。日本政府観光局理事を経て、現在、日本コングレス・コンベンション・ビューロー副会長、安保政策研究会理事。外交問題および観光分野に関して、朝日新聞「私の視点」、毎日新聞「発言」その他複数のメディアに掲載された論評多数。

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