メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

コロナ危機後の世界と日本には何が求められるのか?

6月のG7サミットではコロナ危機後のグローバル・ガバナンスのあり方が中心議題に

関山健 京都大学 大学院総合生存学館准教授

グローバル・サプライチェーン多角化が必要

 今回のコロナ危機は、全世界同時発生の災害(パンデミックを含む)に対して、グローバル・サプライチェーンが想像以上に脆弱であることを示した。日本では、電機電子や自動車といった主要産業において、中国や東南アジアからの部品供給が滞った。マスク、防護服、人口呼吸器といった医療関連物品の海外への依存度が高いことも、大きな混乱を招いた。

 この点について5月26日の産業構造審議会通商・貿易分科会は、「集中生産による経済性・効率性と、供給途絶リスクへの対応力のバランスを今後どのように考えていくべきか」と問題提起した。

 一般的に、地理的な集積は企業にとって、①中間財の輸送コストが下がる、②情報の共有が容易になる、③人材の調達が容易になる――といったメリットがあり、生産の効率性が上がる。他方、生産拠点の地理的集積は、その地域が災害等に見舞われた際にサプライチェーンが寸断されるリスクを高める。集中生産による効率性とリスク耐性とはトレード・オフの関係にあるため、各企業がどのようにバランスをとる判断をするかが重要となる。

 日本のサプライチェーンは、中国や東南アジアを中心に特定国への集中度が高い。たしかに多くの日本企業は、東日本大震災を契機にサプライチェーンのあり方を見直し、多角化によるリスク分散を図ってきた。それでも、たとえば電機電子製品・部品の輸入先集中度を国際的に比較してみると、日本の集中度が相対的に高いことが目立つ(グラフ参照)。

◇グラフ:電機電子製品・部品の輸入先集中度(HHI指数)

拡大

出所)ITC貿易統計より筆者作成
注)指数が10000に近いほど特定国への依存度が高い。

 危機時には、各国とも当然ながら自国優先となり、物資の融通は望めないという現実を、コロナ危機は浮き彫りにした。そのため、各産業の生産拠点を国内に戻すべきとの意見もある。たしかに、海外からの輸入に依存しすぎることは、今回のような世界同時災害が発生した時に各国が保護主義に走ることを考えると、避けるべきであろう。一方で、日本国内を含め、どこかに生産拠点を集中させることは、リスク分散の観点からかえって危険である。まして日本は、地震や台風といった災害の危険がある。

 とすれば、コロナ危機の教訓とするべきは、

・・・ログインして読む
(残り:約3293文字/本文:約5429文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

関山健

関山健(せきやま・たかし) 京都大学 大学院総合生存学館准教授

財務省、外務省で政策実務を経験した後、日本、米国、中国の大学院で学び、公益財団等の勤務を経て、2019年4月より現職。博士(国際協力学)、 博士(国際政治学)。主な研究分野は国際政治経済学、国際環境政治学。

関山健の記事

もっと見る