メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

政治を変える「グレタの法則」、無名の市民が瞬時に世界を動かす

コロナ禍の時代、デジタル革命迎えた日本の市民運動

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

アラブの春

拡大Jaggat Rashidi/shutterstock
 SNSを使って市民が情報を共有し立ち上がったことでは、北アフリカで独裁政権を次々に倒した「アラブの春」が名高い。

 きっかけは、2010年にチュニジアで起きたジャスミン革命だ。警官から暴行を受けて抗議の焼身自殺をした青年の映像がフェイスブックで流れ、ネット上で抗議が拡大。怒った市民が暴動を起こし、23年続いたベンアリ長期独裁政権が倒れた。

 その動きは周辺の国にも飛び火し、2011年には地域大国のエジプトで30年続いたムバラク長期独裁政権を、さらにリビアでも42年続いたカダフィ独裁政権を倒した。

米ウォール街占拠、ワシントンも埋め尽くす

拡大米連邦議会前の大通りに、銃規制の強化を求める「私たちの命のための行進」に参加するため全米から集まった若者たち=2018年3月24日
 その2011年、米国のニューヨークでは、学費を払えなくなった学生や家賃を払えず家を追い出された人々が、金融街の公園に集まった。「ウォール街占拠事件」だ。

 警官が女子学生に催眠スプレーをかけた映像がユーチューブに流れてから人々の注目が広がり、カナダから発信されたツイッターの呼びかけをきっかけに大きなうねりとなった。「金持ちは1%、われわれは99%」と富の不公平さを主張し、社会格差の是正を求めた。

 同じ米国で、2018年には、フロリダ州の高校での銃乱射事件で生き残った高校生が銃規制の運動に立ち上がった。全米各地の若者が「#EnoughIsEnough(もうたくさんだ)」のハッシュタグをつけてSNSでメッセージを発信し、首都ワシントンの目抜き通りを80万人が埋め尽くす抗議デモに発展した。

弱者の問題を社会に提起

 米国のこれらの運動は、それぞれの根本解決には至らなかったが、広く問題を提起することには成功した。

 豊かにみえる社会にも虐げられた弱者が多数存在し、いざとなればSNSを通じて連携して立ち上がることを見せつけた。

 その力が同年の下院議員選挙でニューヨーク州に史上最年少の女性議員を生み、さらに今回の大統領選挙で、サンダース候補の健闘を支える力となって現れたと評価されている。

拡大サンダース上院議員(左)と、史上最年少で下院議員に当選したオカシオコルテス氏が一緒に演説会に登場した=2018年7月21日

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。主著に『心の歌よ!』(シリーズⅠ~Ⅲ)『連帯の時代-コロナ禍と格差社会からの再生』『凛凛チャップリン』『凛とした小国』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。公式HPはhttps://www.itochihiro.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

伊藤千尋の記事

もっと見る