アフターコロナは国連議員総会、そして世界連邦へ!
70年以上前にアインシュタイン博士や湯川博士が唱えた構想を今こそ
鈴木賢一 政党事務局部長代理
新型コロナウイルスのパンデミックに陥った国際社会に遭ってキッシンジャー元米国務長官は、「ウイルスは国境を認識しない」として、各国政府に「世界的な協力が伴わなければならない」と政策協調を求めた。さらにブラウン元英首相は、医療・経済両面の危機に対応するために一時的な「世界政府」設立まで呼びかけた。
地球規模の感染拡大下では、一国による対応では限界があり、各国が連携協力して対策を打つべきと考えるのは当然である。
ところが現実には、米国と中国の対立が貿易分野から新型コロナウイルス発生源をめぐる対立に飛び火し、国連安保理や世界保健機関(WHO)での政策協調の議論に影を落としている。
イアン・ブレマー氏は、国際政治の現状について「米国が国際秩序を主導していた時と違い、リーダー不在の時代は過去のどんな時よりも世界を危険にさらしている」と警鐘を鳴らしている。
このような国際情勢に身を置く時、70年以上も前にアルベルト・アインシュタイン博士や湯川秀樹博士らが唱えた世界連邦構想の必要性を再認識させられる。地球的規模の問題には、国家単独の行動では限界があり、各国が協力して地球益の視点から問題解決を図るべきと考え、各国から主権の一部を委譲された世界連邦が、国境を越えた課題に対して処方箋を示し、関係国と連携協力して対処するという構想だ。

William Potter/Shutterstock.com
世界連邦体制は、国連を改組して構築する。国連が長年取り組んできた紛争防止、軍縮、飢餓や貧困、難民問題、人権、環境保全などに関する事業を引き継ぎ、発展させていく。
ただし、世界連邦と国連で決定的に違う点がある。国連が乗り越えられなかった、主権国家の平等を原則とするウェストファリア体制、政府間主義を超越した理念に基づいて、世界連邦が設計されるという点である。
本稿では、世界連邦運動(World Federalist Movement,WFM)の提唱者が目指している世界議会(World Parliament,WP)とその前段階と位置付けている国連議員総会(United Nations Parliamentary Assembly,UNPA)について検証する。
2つの組織は、ウェストファリア体制と政府間主義を越えた国際主義、議会主義に立脚している。その担い手になり得る各国の国会議員らが国際的規模で集い議論する列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union,IPU)とアジア政党国際会議(International Conference of Asian Political Parties,ICAPP)の活動に着目し、その活用の仕方について検討し、世界議会を構想しつつ、国連議員総会設立への方策を検討する。