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中国が制定した国家安全法で香港が空洞化する!

自由で民主的な国際都市としての独自の魅力が失われて

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

楽観できない香港の行方

 天安門事件で犠牲になった人たちの追悼集会が、翌90年から香港のビクトリア公園で続けられてきた。今年は新型コロナウイルス感染拡大のあおりで当局が開催を禁止したものの、それでも万という人たちがローソクを手に集まってきたという。

 しかし、集会に集まった学生や市民の気持ちは、今までとはまったく違うだろう。天安門事件よりもはるかに悲惨な事態が、これから香港で起きるのではないか。そう考えざるを得ない状況が生まれているからだ。

 私は香港の行方について楽観視はしていない。少なからぬ香港人が英国や台湾、カナダなどさまざまな国に移住をして、何十年間も祖国の民主化を待つことになるかもしれないと懸念している。だから香港の空洞化が一気に進む可能性があるのだ。

 香港では、今年の9月に国会にあたる立法会の選挙を控えている。きっと立候補段階で民主派は徹底して排除されるであろう。当局と学生たちが衝突して、悲惨な事態が起きるかもしれない。

 選挙の結果、立法会が親中派で固められれば、香港国家安全法が立法会でも承認を得るという大きな「譲歩」もするだろう。それによって、民主的手続きを“偽装”して反対派を弾圧するに違いない。

拡大天安門事件の犠牲者を追悼するために集まった香港の市民ら=2020年6月4日、香港、益満雄一郎撮影

香港国家安全法は「一国二制度」への死刑宣告

 5月28日、中国の全国人民代表大会(全人代)は、香港での反体制的な言動を取り締まる香港国家安全法を導入する方針を圧倒的な多数よって決定した。なんと、賛成2878票、反対1票、棄権6票、無効1票だという。この時代に他国では考えられない一方的な結果にはしらけるばかりだ。

 この決定によって、香港における「一国二制度」に死刑が宣告されあと受け取る向きは強いだろう。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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