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学校給食で知る沖縄戦と戦後沖縄の食生活~人気のミヌダルのレシピも紹介

焼き芋と「カンダバージューシー」で戦争をしのび、伝統料理で長寿食を体験

山本章子 琉球大学准教授

沖縄の食材を使ったメニューの数々

 公立の小中学校の給食は、児童、生徒に各家庭の経済格差を意識させないことや、健康な身体を育てることが主な目的となっているが、食材の「地産地消」も重視されている。たとえば、東京都江戸川区の小学校では、地域の特産品である小松菜が、味噌汁は当然のこと、パンやカレーのナンに練り込まれている。福岡県宗像市では椿油を使ったご飯が、宮崎県では切り干し大根が学校給食に登場する。

拡大グルクンの唐揚げ
 沖縄でも、「グルクン」(タカサゴ)や「マンビカー」(シイラ)など、地元でとれる魚が給食に提供されている。どちらも唐揚げが多い。

 1メートル大のマンビカーは、そのまま姿揚げにされて教室に運ばれ、給食台の周りに集まったクラスメイト全員で、突っついて食べる。小骨が多いので敬遠する児童もいるが、誰が目玉を食べるかを全員でジャンケンして決めるなど、盛り上がる一品だ。マンビカーをシイラカンスと表記する学校もあり、「沖縄では給食で生きた化石を食べるの!?」と、私を驚愕させた。

拡大ゴーヤー Emily Li/shutterstock.com
 沖縄の地野菜は「ゴーヤー」(にがうり)、「ナーベーラー」(へちま)、冬瓜、田芋、「シマナー」(からし菜)、「ンジャナバー」(にが菜)、いずれも味や食感にくせのあるものが多く、給食では工夫しないと食べてもらえない。

 ポテトチップスのように揚げたゴーヤーチップス、麻婆ナーベーラー、冬瓜ジャム、田芋田楽など、給食でしか見ないメニューが並ぶ。シマナーはおひたしが一般的な食べ方だが、独特の辛みがあるので、給食では「チャンプルー」(炒め物)が多い。伝統料理の「ンジャナバーのスーネー」(にが菜の白和え)は、苦手な給食メニューとして、大人になっても記憶されていたりする。ちなみに、私は好物だ。

戦争と占領で失われた長寿をもたらした食生活

 沖縄県の学校給食が地産地消にこだわるのは、戦前の食生活が、沖縄戦とその後27年間続いた米軍の占領統治によって、失われてきたという危機感からだ。

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筆者

山本章子

山本章子(やまもと・あきこ) 琉球大学准教授

1979年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。2020年4月から現職。著書に『米国と日米安保条約改定ー沖縄・基地・同盟』(吉田書店、2017年)、『米国アウトサイダー大統領ー世界を揺さぶる「異端」の政治家たち』(朝日選書、2017年)、『日米地位協定ー在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書、2019年)など。

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