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内閣支持率急落の意味

――最近の世論調査を⾒ると、安倍内閣の⽀持率は軒並み下がり、不⽀持率が相当増えています。⽀持率が特に下がった調査を⾒ると、毎⽇新聞が27%台、朝⽇新聞が29%台というように、政権維持の観点からはすでに危険⽔域に⼊ったものもあります。この急落傾向について、どう思いますか。

石破 底流には、「桜を⾒る会」やそれ以前の森友、加計問題などがあったのでしょう。それに⿊川東京⾼検検事⻑の定年延⻑と賭けマージャンの問題が加わって、これがわかりやすかったんですね。しかも処分が⽢いということで、みんな我がこととして考えるようになったんだと思います。

 今までの国家戦略特区とか8億円値引きとかいうのは、なんだか別世界の話だった。けれども、「賭けマージャンで捕まらないの」「なんか変だよね」というのは身近な話題として感じられますよね。

 それから、「アベノマスク」もあまり迅速には届かない。それで、「おれんとこ来ない」と。また、届いた⼈もマスクを⾒て何も書いていないとか小さいとか、改めてびっくりみたいなことがあって、⾃分の問題として「これっておかしいんじゃないか」と感じるようになった。

 森友、加計、サクラみたいにどこか違う世界の話じゃなくて、⾃分の話のこととして「どこかおかしい」と感じるようになった人が増えたのではないかと思います。

――まず、最⼤の⽀持率低下の原因となったのは、国⺠がコロナウイルスと緊急事態宣⾔のダブルの不安とストレスの中で苦しんでいるさなかに、まさに不要不急の検察庁法改正案を国会に提出したことにあると思います。そして、その後の対応を⾒ても、ツイッターで「法案に反対します」という批判の声が⾼まってくると、今度は法案を引っ込めた。こういう政治の姿勢についてどう思いますか。

石破 法案の採決を先送りにしたのは、まずは⾮常に批判が⾼まった、ツイッター・デモのようなことが起こったり、それに有名⼈が多く投稿したり、という⼀連のことがあります。

 それに加えて、松尾邦弘元検事総⻑をはじめとする検察の錚々たるOBの方々、その世界の権威の⼈たちが「おかしい」と声を上げました。それらも融合した形となって、ああいう判断になったのだろうと思います。

拡大黒川弘務検事長の辞職に関して取材に応じる前にマスクを外す安倍晋三首相=2020年5月21日、首相官邸

 安倍内閣は検察庁法にその定めがないにもかかわらず、閣議決定で黒川東京高検検事長の定年延長を決め、その後、国家公務員法改正案と一括して、検事総長らの定年延長を認める検察庁法改正案を国会に提出した。
 しかし、司法権の独立を揺るがす露骨な人事介入改正案に、国民から猛烈な反対を示す「ツイッター・デモ」が巻き起こった。
 さらに、松尾邦弘・元検事総長らロッキード事件などを担当した検察OBが法案に反対する意見省を法務省に提出。その中で、検察官の定年延長をめぐる安倍首相の答弁を「ルイ14世の『朕は国家である』との言葉を彷彿とさせる」と批判した。
 安倍政権は、広がり続ける批判の波に耐え切れず、検察庁法改正案の今国会成立を断念した。

石破 だけど、廃案ではなく継続審議になっているわけで、その扱いはまた今後決めることになるのでしょう。国家公務員法改正案とセットになっていましたが、セットで廃案というのもおかしな話で、分けて審議すればいいのではないでしょうか。

 それと、そもそもこの検察庁法改正って何なんだろう、という議論から⼗分に⾏われるべきだとも思います。

――そこのところで私が考えるのは、そもそも検察官というのは国家公務員ではありますが、三権分⽴の司法権の重要な⼀⾓を占めている権能です。定年延⻑が認められていなかった検察庁法の精神、趣旨というものは、この部分を担保する意味合いがあったわけです。それを捻じ曲げる政治の在り⽅というのは、⽂字通り法の精神を踏みにじることになるのではないでしょうか。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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