大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント
1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
危機のリーダー小池都知事に懸念材料はないか?宇都宮健児氏、山本太郎氏の狙いは?
9年前、引退が目されていた石原慎太郎東京都知事(当時)が4選出馬の表明を都議会本会議で演説したのは、2011年3月11日午後2時21分、東日本大震災が起きるわずか25分前でした。
危機下の選挙となったこのときの都知事選は、普段は週に2、3日しか都庁に登庁しない石原都知事が、防災服を着て連日メディアに出演したり、公務をこなしたりすることで都民の信頼を得て、圧勝を収めることに成功します。
その後、石原都知事は衆議院議員に転身するために辞職、その後、都知事が2人連続して任期途中にスキャンダルで辞職したことから、6月18日に告示(7月5日投開票)を迎える今回の選挙は、9年ぶりに任期満了で迎える東京都知事選挙ということになりますが、都知事が防災服こそ着ていないものの、9年前を彷彿とさせるような流れになりつつあります。
コロナ禍のもとでの選挙戦では、大規模な政治集会や多人数が集まる街頭演説を実施することは感染拡大のリスクを伴うので、選挙戦のあり方は大きく変わるでしょう、そんななか、小池都知事は連日の記者会見などでコロナ対策をアピールし、着実に都民の信頼を獲得してきました。
感染が全国に広がったコロナ対策では、各自治体の首長のリーダーシップが問われましたが、連日のぶら下がりや記者会見への対応のみならず、時に自宅から動画メッセージを配信するなどの情報発信は、小池都知事のキャラクターが存分に発揮された活動と言えます。4年前はガラス張りの選挙カーに乗って駅前で街頭演説をするなど、“大衆劇場型選挙”を展開しましたが、今回は「安定感のある小池百合子」を演出する戦略でしょう。