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中国のデジタル通貨実験:金融覇権への重大な一歩か

特許をもつ仕組みを外国に輸出し、金融制度への中国の影響力強化狙う

塩原俊彦 高知大学准教授

なぜDCEPなのか

 中国政府はなぜDCEPを開発し、その普及・拡大に乗り出しているのだろうか。表面的にみると、「デジタル元」たるDCEPは現金決済にかかるコストを削減し、より効率的な取引を促す効果をもっている。とくに、いわゆるSWIFTを通じたクロスボーダー決済にかかる従来の高いコストを大幅に削減することが可能となる(SWIFTについては前述の拙稿を参照)。

 他方で、通貨発行に伴って国家がもっている貨幣鋳造益(シニョレッジ)が喪失するという問題点が

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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