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藤井聡太七段の群を抜く大局観に思う

将棋だけでなくすべての分野に当てはまる大局観を持つことの大切さ。

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

 新型コロナ禍による憂鬱が依然、続くなかで、ちょっとした明るいニュースがわれわれを癒やし、励ましてくれる。

 私が将棋ファンだからか、藤井聡太七段の最近の大活躍は、明日に向かう力となっている。

「読みは早く、正確、異質な強さ」

拡大渡辺明棋聖に勝利した藤井聡太七段=2020年6月8日午後8時24分、東京都渋谷区

 藤井七段は6月4日に将棋の八大タイトルのひとつである棋聖位への挑戦権を握るや、6月8日にはその五番勝負の第一局に臨み、現在、“最強棋士”と言われる渡辺明棋聖に先勝した。

 しかも、先手の藤井は自ら「戦型」を決めることができるのに、自分が得意とする「角換わり」ではなく、あえて渡辺好みの「矢倉」戦法に身を預けた。たとえて言えば、投げ技が得意な横綱を相手に、前頭がすすんでもろ差しを許したようなものだ。

 藤井に敗れた日の夜、「週刊文春」の取材に答えて渡辺は次のように語っている。

 「帰宅してすぐ今日の将棋を検証したら、有利だと思っていた局面が、実は既に不利だったと分かった」
 「藤井君の終盤の読みは早く、本当に正確、異質な強さだと感じました」

 渡辺は現在、棋王、王将、棋聖の三冠。現在、名人戦にも挑戦し、6月11日には豊島将之名人との第一局に先勝した。その渡辺が“異質な強さ”とまで表現するのは、藤井将棋の深さに驚嘆したのだろうか。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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