阿部 藹(あべ あい) 琉球大学客員研究員
1978年生まれ。京都大学法学部卒業。2002年NHK入局。ディレクターとして大分放送局や国際放送局で番組制作を行う。夫の転勤を機に2013年にNHKを退局し、沖縄に転居。島ぐるみ会議国連部会のメンバーとして、2015年の翁長前知事の国連人権理事会での口頭声明の実現に尽力する。2017年渡英。エセックス大学大学院にて国際人権法学修士課程を修了。琉球大学客員研究員。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
アメリカ・ミネアポリス市で警察官の暴力によってジョージ・フロイド氏が命を奪われたことをきっかけに、人種差別や警察の暴力に対する抗議活動がアメリカだけでなく世界中で広がりを見せている。
そんな中、6月12日に沖縄で「Black lives matterに連帯する沖縄集会」が開かれた。
集会は沖縄県の中部、沖縄市にある胡屋十字路で行われた。夕暮れ時におよそ300人が集まった集会は、テレビがしばしば強調する暴力的な抗議デモとは違い、マイクを握って差別に関する自身の経験や思いを語る人の声を他の参加者が静かに聴き、共有する場になった。
アフリカ南部にあるレソト王国出身の女性は、「自分の母国は民族的に均質な国で、自国にいるときには差別を感じたことがなかった。進学のためにドイツに移住したとき初めて差別を経験し、自分が『黒人』であることを認識した。このような場を作ってくれたこと、そして自分達の存在に目を向けてくれたことを感謝する」と語った。
アフリカ系アメリカ人とエジプト人の両親を持つアメリカ人の男性は「2016年の大統領選挙で、自分は投票することができたのに投票をしなかった。周りの多くの友人も投票しなかった。その結果が今の状況だと思う。次の選挙では絶対に投票するし、みんなにも投票してほしい」と呼びかけ、在外アメリカ人の投票を支援するウェブサイトを紹介した。
一方で、沖縄の暮らしの中での被差別体験や、自らの心の中の差別意識について語る人もいた。
メキシコ系アメリカ人の父とOkinawan(原文ママ)の母を持つ男性は、幼い時から学校などで「タイ人」とか「フィリピン人」とからかわれ、「すごく嫌だった」と語った。けれど、よく考えれば自分のその感情こそがタイやフィリピンの人に対する差別意識であり、自分も差別をしていたと気づいたと語り、「誰しも差別をする、そのことをみんなが気づかなくてはならない」と締めくくった。
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