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安倍「一強」が終焉、混迷期に入る日本政治。「ポスト安倍」は? 総選挙は?

隠されていた現実をあぶりだす新型コロナ危機。ざわつき始めた自民党

星浩 政治ジャーナリスト

限界が見え始めたアベノミクス。外交も進展せず

 安倍首相は政権復帰後、2013年、16年、19年の参院選と、14年、17年の衆院選で勝利し、政権を維持してきた。消費増税の延期や増税分の使途変更などを争点に掲げ、森友疑惑などを追及する野党の攻勢をかわした。自民党総裁選は、15年は無投票、18年は石破茂元幹事長との一騎打ちだったが、勝利して、長期政権を維持した。

 しかし、19年の参院選では、自民・公明の与党で過半数という勝敗ラインはクリアしたものの、参院での“改憲勢力”が三分の二を下回り、安倍首相の掲げる憲法改正は当面、困難になった。18年総裁選を経て、総裁の任期が残り3年となったこともあわせ、政権の勢いは弱っていた。

 政策面では、アベノミクスの限界が見え始めた。株高でも景気回復の実感は広がらない。成長戦略は何度も打ち出されたが、生産性は向上しない。社会保障の抜本改革も進まなかった。

 外交でも、安倍首相が「最優先」としてきた北朝鮮による拉致問題は進展せず、ロシアとの北方領土問題では、安倍首相が事実上、2島先行返還に舵を切ったのに、ロシア側は歩み寄る姿勢を見せなかった。頼みのトランプ米大統領も、再選に黄信号が点灯してきた。

拡大共同声明署名式で握手を交わす安倍晋三首相(左)とトランプ米大統領=2019年9月25日、ニューヨーク

行き詰まった政権を直撃したコロナ危機

 行き詰まりを見せていた安倍政権をコロナ危機が直撃した。中国・武漢から広がった感染に対して、日本の水際対策は出遅れた。4月に予定されていた習近平・中国国家主席の訪日への影響を考慮し、「中国からの入国制限措置に踏み切るタイミングが遅れた面は否定できない」と日本政府関係者も認める。

 感染が拡大する中で、PCR検査が進まない点も医療関係者から批判された。医師や看護師ら医療関係者の奮闘もあって、欧米や南米のような感染拡大や死者の増加は食い止められたが、医療体制の不備も目立った。

 政府は経済対策として補正予算案の編成を進めた。当初は、安倍首相と岸田文雄・自民党政調会長が主導し、収入が激変する家庭などに最大30万円を給付することを決めた。だが、二階俊博・自民党幹事長や公明党が反発。急きょ、方針を変更し、国民全員に一人あたり10万円を給付することになった。

 いったん閣議決定した補正予算案が撤回され、新たに決定しなおすという前代未聞の事態となった。二階幹事長と公明党が反旗を翻せば、

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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