メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

消費税減税、ベーシック・インカム…玉木雄一郎が提唱するコロナ後の経済政策

「金儲けのための資本主義」ではなく「人を大切にする資本主義」へ

玉木雄一郎 国民民主党代表

③ 富の所在のバランス

 コロナの影響は社会的に弱い立場の人ほどその影響を強く受けた。例えば、ニューヨークでは黒人やヒスパニックといった相対的に所得の低い社会階層ほど、コロナによる死亡率が高かったと報告されている。まさに、所得の格差が生命の格差につながったのだ。

 だからこそ、今、私たちが目指すべき方向は富の「偏在」(偏って存在する)から「遍在」(遍く存在する)への転換だ。

 グーグルやアマゾンといったGAFAに代表されるような、「プラットフォーマー」と呼ばれるグローバルネット企業によって、世界市場は根こそぎ独占され、競合企業の排除、利益独占、そして租税回避が当たり前になっている。国の産業構造はおろか国家財政まで脅かされつつある。社会がほんの一握りの勝ち組と大勢の負け組に分断され、世界の不安定化が加速している。この進行しつつある社会の現実を顕在化させたのがコロナ禍であったとも言える。

 コロナ後の経済政策の基本は、このように極端に偏った富の集中を改め、広く遍(あまね)く富を分配することだ。そのためにも、大企業最優先の政策ではなく、国民の暮らしを守る「家計第一」の経済政策への抜本的な転換が必要である。

 これまでの政策は大企業に重点を置き、そこが豊かになれば恩恵が中小企業や家計に広がっていくという前提でつくられてきた。しかし、恩恵は多くの国民の「家計」には届いていない。今、何より重要なのは、「家計」を豊かにして消費力を高め、「消費を軸とした好循環」を回す経済政策である。

拡大国民民主党の玉木雄一郎代表=2020年1月8日、東京・永田町
・ベーシック・インカムとベーシック・サービスで、富の“偏在から遍在へ”

 今回のコロナ対策としての全国民への一律10万円の給付金は、図らずも「ベーシック・インカム」的な性質を帯びている。他の社会保障制度や減税政策を整理統合したうえで、給付と税還付を組み合わせたベーシック・インカム制度を創設し、 尊厳ある生活保障を可能とすべきだ。高齢に伴う不安、失業による不安、子育ての不安、様々な不安が高まる社会で、すべての国民が、人生のあらゆるライフステージの中で、不安なく暮らせるよう再分配機能を強化していかなくてはならない。

 また、コロナ禍は、現金給付だけでなく、医療や教育といった基礎的な行政サービス(ベーシック・サービス)も、いざというときの備えとして極めて重要だと認識された。無料あるいは安価に全ての国民が医療や教育といった基本的な公共サービスにアクセスできる環境の整備は、コロナ後の社会の最優先課題として取り組まなくてはならない。

 そして、富を「偏在」から「遍在」に変えていくためには、税制を抜本的に見直さなければならない。まず、落ち込んだ消費を下支えするために1年間の期限を区切って消費税を減税し、景気の回復を見定めながら、国際的な法人税の課税の適正化や、高所得者への所得課税、資産課税の強化を行う。また、地球温暖化や貧困問題など世界的な課題解決につなげるためにも、金融取引に課税する「国際連帯税」の導入も検討していく。

 ただし、経済が危機的な状況にあることから、当面は財政再建の目標は先送りし、低金利を活かした超長期国債の発行などによる財政ファイナンスで対応すべきであり、日銀による無制限の国債買い入れも当面は維持すべきだ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

玉木雄一郎

玉木雄一郎(たまき・ゆういちろう) 国民民主党代表

1969年、香川県寒川町(現さぬき市)生まれ。県立高松高校、東京大学法学部を経て大蔵省入省。ハーバード大学ケネディスクール修了。外務省(中近東アフリカ局中近東第一課)や金融庁(証券取引等監視委員会)へ出向した後、財務省主計局主査を最後に財務省を退官し、2005年衆院選に香川2区から初出馬、落選。2009年衆院選香川2区で初当選し、4回連続当選。2017年に希望の党代表。2018年に国民民主党代表。