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「合憲の敵基地攻撃能力」とは? 世紀またぐ国会論戦にみる曖昧さ

「座して自滅を待たぬ」首相答弁は1956年 真珠湾攻撃から北朝鮮ミサイルまで

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

船田防衛庁長官との齟齬

 ところが、この鳩山首相の答弁と、翌年の船田長官の答弁が齟齬(そご)をきたす。「座して自滅を待たぬ」の答弁が出る2日前の1956年2月27日、衆院内閣委員会。やはり自衛隊がどこまでできるのかを問う右派社会党の受田新吉議員に対し、船田長官はこう答えた。

拡大1956年4月、衆院内閣委員会での船田中防衛庁長官(中央)。左は重光葵外相=朝日新聞社

受田議員「向うの攻撃を加える方の側の航空機発射基地というようなものが潰滅されざる限りは、正当防衛という目的を達し得ないと思うがいかがか。迎えて討つだけで正当防御が全うできるかどうか」

船田長官「武力行使を行う目的で外国の領土に上陸する海外派兵は、現行憲法における自衛隊にはできないし、またやらない。しかし敵の基地をたたかなければ自衛ができない場合で、他に方法がない場合には、海外派兵とは区別さるべきと存じます。(中略)敵の攻撃が非常に熾烈で、どうしても敵の基地をたたかなければ自分の方が危ない場合にはあり得るけれども、これは海外派兵の問題とは全く別個の観念であると存じます」

 船田長官は「海外派兵」は違憲と明言する一方で、攻撃を放置すれば危険で他に防ぐ手段がない場合は、敵の基地を攻撃できるという考えを示したのだ。

 米国とソ連が対立する冷戦で日本は米側陣営に入ったとはいえ、まだ太平洋戦争での米軍の爆撃機による空襲や原爆投下の記憶が生々しい頃だ。その次の「真珠湾攻撃」をめぐるやり取りが、さらに話をややこしくした。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)

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