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われらの忘れがたき日本人~乗松雅休と曽田嘉伊智

豊臣秀吉の日本を憎む、伊藤博文の日本は嫌いだ、しかし……

徐正敏 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

*この記事は筆者が日本語と韓国語の2カ国語で執筆しました。韓国語版(한국어판)でもご覧ください。


拡大乗松雅休(1863-1921)=筆者の講義資料
 乗松雅休(のりまつ・まさやす 1863-1921)について、彼の朝鮮人の仲間、友人たちはつぎのようなことばで彼の生涯を語り、讃えたという。

私たちは、豊臣秀吉の日本を憎む
また、伊藤博文の日本は嫌いだ
だが、乗松雅休の日本は愛している

 最近、筆者と乗松について話した友人は、昨今の日韓関係を意識して、「安倍首相の日本も嫌いだ」と付け加えたいくらいだと冗談交じりで言ったのだが、それはともかく、乗松雅休こそは日本との関係が最も不幸な時期に朝鮮に住み、朝鮮人と哀歓を分かちあった日本人伝道者である。

 自らは徹底した清貧生活を送りながら、すべてを隣人のために献げ、朝鮮人への愛を実践した人物である。聖者にも近い彼の伝道は、当時の朝鮮と日本の境界を越えて人々に感動を与えた。

拡大乗松雅休が設立した水原同信教会、2013年春、明治学院大学の同僚と訪問した=筆者提供


筆者

徐正敏

徐正敏(そ・じょんみん) 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

1956年韓国生まれ。韓国延世大学と大学院で修学。日本同志社大学博士学位取得。韓国延世大学と同大学院教授、同神科大学副学長、明治学院大学招聘教授、同客員教授を経て現職。アジア宗教史、日韓キリスト教史、日韓関係史専門。留学時代を含めて10年以上日本で生活しながら東アジアの宗教、文化、社会、政治、特に日韓関係を研究している。主なる和文著書は、『日韓キリスト教関係史研究』(日本キリスト教団出版局、2009)、『韓国キリスト教史概論』(かんよう出版、2012)、『日韓キリスト教関係史論選』(かんよう出版、2013)、『韓国カトリック史概論』(かんよう出版、2015)、『東アジアの平和と和解』(共著、関西学院大学出版会、2017)など、以外日韓語での著書50巻以上。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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