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われらの忘れがたき日本人~乗松雅休と曽田嘉伊智

豊臣秀吉の日本を憎む、伊藤博文の日本は嫌いだ、しかし……

徐正敏 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

戦後曽田夫婦の役割分担

 8.15以降、曽田自身は日本に帰り、日本政府と社会に対して植民地支配の歴史の悔い改めの運動をおこなった。一方で、彼の妻はまだ韓国に残り、孤児の世話をしていた。

 1950年1月、夫人がソウルで死去した。しかし、彼は夫人の葬儀式にも参加できなかった。当時、日韓には国交がなく、民間人が自由に往来することができない状況だったのだ。

 もう高齢であった彼の願いも韓国に戻ることだった。そして最終的には、彼が育てた韓国人孤児たちと韓国キリスト教界の努力で、1961年にその願いは果たされる。韓国側の公式招待により、解放後、ほぼ初めての民間人として韓国訪問がおこなわれた。そして韓国にとどまったまま、1962年3月28日にソウルで死去した。

拡大1961年ソウルに到着した曽田嘉伊智、前列右から二番目=「永楽保隣院」所蔵、筆者のFBより

 彼は現在、妻と一緒にソウルの楊花津外人墓地に眠っている。主に欧米の宣教師が埋葬されているこの墓地に、日本人が葬られた唯一の例である。

 乗松雅休も曽田嘉伊智も、日韓関係の良きにつけ悪しきにつけ、そのただなかにいる私たちを教え導く先駆的人物である。彼らは日韓の歴史のなかに永遠にその名をとどめ、生き続ける存在である。

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筆者

徐正敏

徐正敏(そ・じょんみん) 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

1956年韓国生まれ。韓国延世大学と大学院で修学。日本同志社大学博士学位取得。韓国延世大学と同大学院教授、同神科大学副学長、明治学院大学招聘教授、同客員教授を経て現職。アジア宗教史、日韓キリスト教史、日韓関係史専門。留学時代を含めて10年以上日本で生活しながら東アジアの宗教、文化、社会、政治、特に日韓関係を研究している。主なる和文著書は、『日韓キリスト教関係史研究』(日本キリスト教団出版局、2009)、『韓国キリスト教史概論』(かんよう出版、2012)、『日韓キリスト教関係史論選』(かんよう出版、2013)、『韓国カトリック史概論』(かんよう出版、2015)、『東アジアの平和と和解』(共著、関西学院大学出版会、2017)など、以外日韓語での著書50巻以上。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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