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大都市は落日するのか? コロナ後のニューヨークから問う5つの課題

コロナ19以降の大都市はどうあるべきか~「ネクスト・ノーマル」時代

パク・ヨン  東亜日報ニューヨーク特派員


《訳者の解説》

 東亜日報ニューヨーク特派員はコロナ後の社会を模索する米国の姿を紹介したうえ、国際社会でコロナ対策に成功したと高く評価されている自国に向かって「K防疫の成果に安住せず……」と警鐘を鳴らしている。

 確かにソウル近郊で暮らす私も「コロナを克服した」というこの国の人々の自負心を感じることは少なくない。

 日本通の韓国人は「日本の防疫はなぜあんなに大げさなのか」という質問を投げかけてくる。テレビでのリモートゲストやフェイスシールド、そして観劇やコンサートなどが未だ行われていない日本の状況を指しているのである。

 もちろん、こう指摘してくる背景には、韓国はそうでないという前提がある訳で。つまり、韓国では有名ミュージカルなどは再開しており(行った人の情報では、マスク着用、席の間隔は空けないらしい)、コロナ禍でもテレビではマスクやリモート参加、フェイスシールドなども見かけなかったからだ。

 またその韓国人はこのようにも言った。ある世界的に行った調査では、「コロナ感染は個人の責任だと思うか?」の質問に、Yesと答えた人は、ほとんどの国で10%台、それに対し日本は40%台だったというのだ。つまり、個人責任追及に伴う「個人攻撃」(特定の団体攻撃)を避けるためのリモートゲストやフェイスシールド、公演自粛ではないのか、と分析しているのである。

 コロナ禍が勢いを増そうとしている時期、日本のある報道番組が釣りをしている男性の後ろ姿だけを遠めから映し「釣りをしている男性がいます!」と言っていたのに、私は衝撃を受けた。

 その報道の意図、そしてその意図の背景には何が潜んでいるのか。その男性の周りには誰もおらず、彼の素性や状況は全く分からない。この間、外出禁止令みたいなお達しが出されたのはどの国でも共通していることだろう。にしてもだ。遠巻きから、後ろ指さして、何も知らない人を突然罪人のように作り出す雰囲気。逸脱している人を公衆の面前で血祭りにするようだ。

 このような報道番組を私は何回も見かけ、日本のそんな雰囲気にそら恐ろしく感じたものだ。

 もし韓国で、釣りをしている人が目についたとしたら、管轄局に届け出て、被害があった場合(釣り人が感染していた場合)は、釣り人が賠償金請求される。韓国では、隔離逸脱した人に高額な賠償金が請求されるという報道はよく見かけた。「人を、外に出さないようにする」装置としての報道番組、その役割とそしてやり方の違いも見えてくる。

 やはり、人間や集団の行動パターンというのは「恐怖」を前にすると明確に現れる。国家による「恐怖」への対策の差も歴然と見えた。

 韓国での私のご近所話ではあるが、コロナ対策で異色を放つスウェーデンや各国の対応を比較する話題も多かった。実例と数字を根拠に感染症にどう対応するかという行動様式が韓国社会にしっかり根付き、人々が問題意識を共有して相互信頼を築いていることへの自信の表われであろう。

 真実が見えないなかでは、実態の無い雰囲気にただただ怯えることになってしまう。

 コロナ後の世界。青空のように透き通った国と雲に覆われ視野を奪われた国とに分かれはしないかと心配である。

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藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、日本語講師。日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。大阪教育大在学中、韓国舞踊に没頭し韓国留学を決意。政府招請奨学生としてソウル大で教育人類学を専攻し舞台活動を行う。現在はソウル近郊で多文化家庭の子どもらに韓国舞踊を教えている。「論座」で『日韓境界人のつぶやき』連載中。

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