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新型コロナを契機に社会変革 日本を救うのは「排除」ではなく「包摂」

神津里季生・山口二郎の往復書簡(7) 働く人たちが声があげることが必要

神津里季生 連合会長

働く人がイニシアチブを発揮するとき

 PCR検査や抗原検査を当たり前のように受けられるようにすることが、いまだに実現できていません。いったい自分は感染しているのかいないのか、それを知ることができる体制の確立は、感染リスクの高い場面に出ざるを得ない人々にとって切実です。

 感染症対策と経済・生活の復興は二項対立ではありません。これを両立させるためには検査の拡充とその明示は不可欠です(論座「感染症対策と経済復興の二項対立を克服しコロナ後の新しい道を拓きたい」参照)。ましてや、新型コロナウイルス接触確認アプリに登録した人が警報を受け取ったら即、検査を受けられるようにするなどは、当然のことではないでしょうか。

拡大ドライブスルーのPCR検査=2020年7月7日、さいたま市北区の大宮医師会

 そもそも日本では、インフルエンザに年間で約1000万人がかかり、3000~10000人が亡くなっているという事実があるのです。その一方で、いつまでも新型コロナウィルスへの恐怖心がなくならず、経済が沈み、自殺者が相次ぐようなことはあってはなりません。

 ここでもう一つ先生の前回書簡から引用したい言葉があります。それは、「自分たちの声を聞かせたい(make voices heard)というエネルギー」です。

 為政者は人々を漠然たる不安にさらしておくことの方が都合がいいのかもしれませんが、こちらはそういうわけにはいきません。命と生活がかかっているからです。

 たしかに最近の多くの日本人はデモや集会を好みません。労働組合の多くの組織でも人を駆り出す役員の苦労は年々増しています。しかし、聞いてもらいたいことが少なくなったり小さくなったりしているわけではもちろんありません。むしろ漠然たる不安にさらされるなかで、じわじわと高まっているとみるべきです。

 ためらわずに声を発していくことが、今なによりも必要です。人々のイニシアチブが発揮されるべきときなのです。

日本の雇用社会は使用者側の都合が優先

 労働組合の立場で言うならば、働く者がもっと「自分たちの声を聞かせる」ために積極的に声をあげていくことが不可欠であり、これは時代の要請でもあると思います。残念ながら日本の雇用社会は、使用者側の都合があまりにも優先してしまってきています。

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筆者

神津里季生

神津里季生(こうづ・りきお) 連合会長

1956年東京都生まれ。東京大学教養学部卒。在学時は野球部マネジャー。79年、新日本製鐵に入社。84年に本社労働組合執行委員となり、専従役員の活動を始める。外務省と民間の人事交流で90年より3年間、在タイ日本大使館に勤務。その後、新日鐡労連会長、基幹労連中央執行委員長などを経て、2013年に連合会事務局長に就任、15年より同会長。近著に「神津式労働問題のレッスン」。

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