メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「世界遺産」日韓対立、対話の切り札は「公文書」

「和解学」研究の早稲田大学教授、浅野豊美さんに聞く

箱田哲也 朝日新聞論説委員

「アジア解放」と植民地支配の矛盾

拡大浅野豊美・早稲田大学教授
――公文書ですか。

 はい。報道に接した時、私は自分が大学院の論文で取り上げた第2次大戦末期の朝鮮人・台湾人の差別的処遇改善問題を思い浮かべました。

 日本は、欧米植民地からの「アジア解放」を大戦の正義として掲げつつ、朝鮮と台湾を植民地支配しました。現代的視点からすると、逆行しているように見えますが、当時の法制上の矛盾に為政者はいかに取り組んだのかがわかります。

――差別的な処遇はあったのだけれど、そんなことはないかのように、つじつまを合わせる必要があったということですか。

 そうです。徴兵制によって矛盾がますます拡大する中、日本政府は最終的には朝鮮と台湾へ衆議院議員選挙を拡大していくことさえ真剣に検討しました。国民の義務と権利が徴兵と参政権で対になっていたため、徴兵制施行後は「まだ同化していないから参政権は与えられない」という論理が通用しなくなったからです。

 公文書を調べると、内閣や朝鮮総督府、帝国議会関係者が、当時の朝鮮人や朝鮮統治にいかなる考えを抱いていたのかが浮かび上がってきます。当時、内地の日本人が朝鮮や台湾の人々にどれほど強い差別感情を持っていたのか、またそれを除去するための法令や行政指導として何がふさわしいのか、日本の権力層が延々と議論した様子が記録されています。

・・・ログインして読む
(残り:約2748文字/本文:約4106文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

箱田哲也

箱田哲也(はこだ・てつや) 朝日新聞論説委員

1988年4月、朝日新聞入社。初任地の鹿児島支局や旧産炭地の筑豊支局(福岡県)などを経て、97年から沖縄・那覇支局で在日米軍問題を取材。朝鮮半島関係では、94年にソウルの延世大学語学堂で韓国語研修。99年からと2008年からの2度にわたり、計10年、ソウルで特派員生活をおくった。13年4月より現職。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

箱田哲也の記事

もっと見る