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「世界遺産」日韓対立、対話の切り札は「公文書」

「和解学」研究の早稲田大学教授、浅野豊美さんに聞く

箱田哲也 朝日新聞論説委員

差別「聞いたことがない」、韓国は反発

 日本と韓国の政府は、また「歴史」をめぐって対立を深めている。

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」を説明する施設「産業遺産情報センター」(東京都新宿区、2020年6月公開)が問題のタネだ。朝鮮半島出身の徴用工への差別は「聞いたことがない」などとする証言が展示されていることに韓国側が反発。日本政府の対応次第では登録の取り消しを求める構えだ。

 徴用工をめぐっては働かせた日本企業に賠償を求めた韓国の最高裁(大法院)判決でも、日韓は対立している。この問題をどう考えるべきなのか。

 第2次世界大戦末期の朝鮮・台湾人の処遇問題に詳しく、韓国をはじめ、中国、米国などの研究者とも連携して「和解学」の研究を進める早稲田大学の浅野豊美教授に聞いた。

 「明治日本の産業革命遺産」の登録を決めた2015年の委員会では、韓国が構成資産の一部で朝鮮半島出身者の強制労働があったと主張し、歴史的事実を無視したままでの登録に強く反発。日本は、意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされたことなどを理解できるような適切な情報発信をすることを約束した。「産業遺産情報センター」はそのための中核施設。

拡大「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)の展示。映像やパネルで世界遺産に登録された23の資産を紹介する=同センター提供

――産業遺産情報センターに行ってこられましたか。

 予約しているのですが、観覧できるのは8月で、現時点ではまだ見ていません。ただ、報道ベースでみると、長崎の端島炭鉱で働いた日本人鉱夫や当時の子どもたちの証言によって、朝鮮人という名指しや実際上の差別は存在しなかった主旨の展示が行われ、それが韓国側を刺激しているようです。

 こういった現代人の感情をいまだに刺激する問題を解く鍵は、戦時中の公文書の活用にあります。

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筆者

箱田哲也

箱田哲也(はこだ・てつや) 朝日新聞論説委員

1988年4月、朝日新聞入社。初任地の鹿児島支局や旧産炭地の筑豊支局(福岡県)などを経て、97年から沖縄・那覇支局で在日米軍問題を取材。朝鮮半島関係では、94年にソウルの延世大学語学堂で韓国語研修。99年からと2008年からの2度にわたり、計10年、ソウルで特派員生活をおくった。13年4月より現職。

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