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民衆社会の基層の劣化(辺見庸)

[194]日隅一雄情報流通促進基金賞、『こころの時代』、河井案里元秘書判決……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

「地元の人間として知らなかった」と言い切る勇気

6月12日(金) 朝、プールに行き泳ぐ。調子に乗っていつもより長めに泳いだ。17時から「日隅一雄情報流通促進基金賞」の表彰式。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、何と今年はオンライン開催。毎年、日比谷の図書館の地下ホールで行われてきた表彰式は、この種の表彰式では非常に中身が濃くて、楽しみにしていたのでちょっと残念だった。とりわけ今年の受賞者は、皆さん素晴らしい仕事ぶりで、特に大賞を受賞した吉田千亜さんのルポルタージュ『孤塁――双葉郡消防士たちの3.11』は、僕自身も随分と心を動かされた作品だった。福島県双葉郡の消防士たちの<3・11>を克明に綴ったこの本(岩波書店刊)を読んでずいぶんと力をもらった。

 オンライン授賞式をPCで眺めていて、それぞれの受賞者の言葉に想像力を刺激される。TUF(テレビユー福島)の木田修作さん。TBSを退社して福島に移り住んで現場で取材し続ける覚悟を聞いた。『プリズン・サークル』監督の坂上香さんが、NHKのETV特集制作時に経験した機微に触れた発言にも、さまざまなことを考えさせられた。

 月曜日の早稲田のゼミ「コロナの時代のジャーナリズム」6回目は、ナオミ・クラインの著作の翻訳者・幾島幸子さんにゲスト・スピーカーとして参加いただくことになっている。その準備を若干。Zoomは便利だが、しょせんはリアルの代替品だという古い考えが僕にはまだ残っている。ダメだな、と自覚しているが、こればかりはどうしようもない。

6月13日(土) 先日見逃したNHK・Eテレの『こころの時代~宗教・人生~「緊急事態宣言の日々に」』の再放送を家人に録画しておいてもらう。ちゃんと見よう。

 「報道特集」のオンエア。前半が、横田滋さん死去をめぐって。後半が富山のチューリップテレビ制作の「朝鮮女子挺身隊」の企画。奇しくも、朝鮮半島をめぐって、僕らの国の被害側の立場のストーリーと、加害側の立場のストーリーが同じ日の特集で続いて放送されることになった。

チューリップテレビの砂沢智史拡大富山・チューリップテレビの砂沢智史さん
 女子挺身隊の特集を制作したのは、チューリップテレビの砂沢智史さんで、今は人事異動の末、報道を離れている。過去に、他の記者たちとともに富山市議会議員の政務活動費問題を取材して、「報道特集」でも放送したことがある。記者時代の最後の長編特集がこれになったわけだ。

 富山の地元の不二越という企業を舞台とした朝鮮からの女子労働者の過酷な実態を「地元の人間として知らなかった」とオンエアの中できちんと言い切る勇気に、思わず膝を打った。砂沢さんは富山からの中継出演。

 今日は、番組冒頭の挨拶で迷った。何を言うべきかで。2つの案で最後まで絞り切れずにスタジオに入った。

 <A案:コロナで困っている中小企業などを助ける持続化給付金。その支給業務を委託された「ナントカ協議会」なる団体が「実体がないのでは」との批判を受けて、事務所を報道陣に公開しました。その時は5人の職員がいましたが、翌日、抜き打ちで訪ねてみたら事務所はもぬけのカラでした。こんなひどいことが起きているのに、国会を閉じていいのでしょうか。

 B案

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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