[196]近畿財務局調査取材、『死の教室』、リアルの番組定例会議……
2020年07月20日
6月24日(水) 朝、沖縄県豊見城市のOさん宅にお見舞い。本当に久しぶりの再会。写真展の準備をしているそうだ。会えてよかった。そのまま那覇空港へ。空港からBLM(ブラック・ライブズ・マター)についての月刊誌原稿をメール。ペンクラブの総会は出られないがやむを得ない。
16時から衆議院議員会館。川内博史議員にインタビュー。森友事件で公文書改ざんを強制され自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの調査報道の一環として、情報公開請求の結果、ようやく出てきた財務省の国会での「想定問答集」について話を聞く。
情報開示をめぐって何しろとんでもないことが起きていた。2018年6月13日に情報公開請求→8月13日に不開示決定→9月5日に総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」に不服申し立て→2019年6月17日、同審査会、不開示決定は違法と答申→2019年11月25日に文書開示。資料が出てくるまで1年半近くかかった代物だ。
約6000ページあるが、近畿財務局と財務省本省との肝心なやりとり部分は黒塗りになっていた。佐川宣寿理財局長(当時)が公文書改ざんの「方向性を決定づけた」となっている財務省報告書。本当に人の命を何だと思っているのか。実り多い取材だった。
6月25日(木) 午前中の便で大阪へ。森友事件で公文書を改ざんさせられ自殺した近畿財務局職員の調査取材の続き。何しろ、黒塗りなのだ。「情報開示」という名目で出してこられた公文書を見て、呆れざるを得ない。
財務省のなかで、いや、その他の省庁でもいい、この墨塗りをやらされている現場を取材できないものだろうか、と空想してしまう。「おい、お前、ここからここまで全部消せ」とか指示する上司がいて、「はい、ここからここまでですね。わかりました」と上司に確認しながら文字のラインを黒い太線で消していく作業をさせられている人間がいるのだ。
取材に応じてくれた生越照幸弁護士は、「過労死弁護団全国連絡会議」代表幹事の松丸正弁護士とともに、妻・赤木雅子さんの代理人で、自死遺族が直面する法律問題に通暁する弁護士だ。Mカメラマンの撮影手腕で通常のカットが特別なカットに変わる。
その後、近畿財務局前に向かい、木村真・豊中市議らが毎月第4木曜日に行っている対・近畿財務局アピール行動を撮影する。赤木さんと同じ職場の元近畿財務局OBの男性もビラまきに参加していた。退庁時、意外にもビラを受け取る職員が結構多かった。なかにはそのOBの方の顔見知りもいたりして言葉も交わしていた。近畿財務局の職場では、本省からの指示は絶対的だったと、そのOBの方は言っていた。赤木さんとも面識があったという。まじめな人柄だった。追い詰められたんだろうと。赤木さんは旧国鉄からの転職組だったので、組合活動にも理解があったという話もしていた。
夜の便で東京に戻る。知己からもすすめられていた映画『パブリック 図書館の奇跡』をみる。これはなかなかいい映画じゃないか。2018年のアメリカ映画だが、この日本公開のタイミング。アメリカでBLM運動が燃えさかっているタイミングでこの映画をみることには格別の意味がある、と思う。それにしても、テレビ・リポーターという存在は……。これ以上書くとネタばれになるな。
6月26日(金) 高橋武智氏が死去していた(6月22日)との訃報。ベ平連。JATEC。あの時代の市民運動の偉大な足跡のひとつだ。僕がJATECのことを詳しく知ったのは、大昔の『月刊PLAYBOY』のなかのルポ記事だった。山口健二の存在を知ったのもその雑誌記事を通じてだった。雑誌ジャーナリズムが生き生きとしていた時代が確かにあったのだ。
プールへ行ってがっつり泳ぐ。泳ぎ過ぎた。泳ぎ終わってからちょっと立ち眩みがした。
16時から、映画『パブリック 図書館の奇跡』の朝日新聞広告用インタビューを受ける。思っていたよりたくさんの方々が来られた。そのなかに配給会社のロングライドの友永さんもいらした。彼女にはケン・ローチの『家族を想うとき』でもお世話になった。今月いっぱいで退社されるとのこと。
インターネットのYouTubeには思いもよらぬ宝物が混じっていることがある。
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