米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士
1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。
日本全体での感染制御対策、「撤退路整備対策」、力のある事業者への集中支援が必要だ
去る7月10日、赤羽一嘉国交大臣は、各都道府県が実行している観光キャンペーンが好評である事を反映して、先般成立した補正予算の目玉である総額1兆6794億円の「GO TO キャンペーン」のうち、「GO TO トラベルキャンペーン」を7月22日から先行実施する事を発表しました(参照)。
ところが、そのわずかか1週間後の7月16日には、特に東京を中心とする新規感染者の拡大を受けて、「東京発着の旅行と、東京在住者の旅行は除く」と発表し(参照)、17日には「若者、重症化しやすい高齢者の団体旅行は支援対象から除外する…大人数の宴会を伴う旅行も対象外とする」一方、「修学旅行は教育的観点から推進する」(参照)とする方針を打ち出したものの、「若者」「高齢者」「団体旅行」「大人数の宴会」の線引きの基準が示されていない事に対する批判が広がると、その日のうちに観光庁が、団体の人数や年齢の線引きは困難としてその判断を旅行業者に委ねると発表し(参照)、予約のキャンセルが殺到して旅行業者が悲鳴を上げて(参照)批判が高まるや、2日前の20日になって対象となる予約日すら定めないまま突如今まで否定していたキャンセル料の補てんを打ち出す(参照)など、混迷を深めています。
開始まであと2日に迫った7月20日時点においてなお、この状況であることに驚きを禁じえませんが、本稿では、現在の政府の方針によれば、とにもかくにも7月22日にはスタートすることになるこの「GO TO トラベルキャンペーン」について論じたいと思います。
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