野党へのゆさぶりを続けるか野党共闘の中で再生を図るか、最後の選択が迫られている
2020年07月24日
昨年7月の参議院議員選挙比例代表で2議席を獲得し、新しい政治勢力として一躍脚光を浴びてきたれいわ新選組がいま、揺れている。
れいわ新選組代表の山本太郎氏は、7月5日投開票の東京都知事選に同党公認候補として出馬し、落選したものの第3位の62万票を獲得した。だがこの出馬は、野党統一候補として出馬を決めていた宇都宮健児候補に挑むかたちとなり、世論に野党分裂を印象付けたうえ、他の野党との溝をより深めることになった。
さらに都知事選直後、同党の主要メンバーである大西つねき氏の「命、選別しないと駄目だと思いますよ。はっきり言いますけど、なんでかと言いますとその選択が政治なんですよ」という発言が物議をかもした。「命の選別を許さない」ことを党是とするれいわ新選組の理念に真っ向から反するこの発言には支持者からも非難が殺到したが、当初同党はあいまいな対応に終始した。混乱が深まるなか、木村英子参議院議員の痛切な批判声明が発表され、最終的に大西氏は総会を経て除籍処分とされた。
この半年あまり、日本政治は新型コロナ危機への対応一色だった。通常国会で与野党の攻防が激しく繰り広げられるなか、街頭宣伝重視のれいわ新選組の存在感は低下していた。そうしたなかで久々に「話題」になったわけだが、この都知事選以後の同党の混乱状況は偶然生じたものなのだろうか。
著者は、ほぼ一年前の論攷「『山本太郎現象』を読み解く」において、当時世界的に広がっていたポピュリズム現象の視角から山本太郎氏とれいわ新選組の特徴を論じた。この論攷ではれいわ新選組が登場する政治経済的条件を論じるとともに、リベラルな外観をもつ同党が、極右排外主義的な傾向を有する支持層を吸収していくリスクがあることを指摘していた。現在のれいわ新選組の混乱は偶然ではなく構造的なものである。本稿では、結党から参議院選挙での躍進、そして現在に至るまでのれいわ新選組の戦略を振り返りながら、同党がいま陥っている構造的な危機について論じていきたい。
2019年7月の参議院選挙における228万の得票、同年8月のNHK世論調査での支持率1.2%――これが、数字上でのれいわ新選組のピークである(都知事選直後の支持率は0.6%)。ここ十数年余り、日本政治にはみんなの党や希望の党といった、伝統的政党とは異なる新党が次々と登場してきたが、これらの党に比べても、れいわ新選組発足当初のインパクトは数字上では
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