知る人ぞ知る、ツイッターデモを引っ張るインフルエンサーがついに「論座」に登場!
2020年07月26日
みなさま、はじめまして。
このたび、こちらの「論座」で記事を書かせていただくことになりましたDr.ナイフと申します。Dr.ナイフというハンドルネーム、そしてアイコンはツイッター(Twitter)の中で使っているものです。
僕は2018年4月から政治に関するツイッターをはじめました。
稚拙なツイートにも関わらず多くのフォロワーを得ることができ、政治的に大きな事件や動きがある時期は1回のツイート閲覧数が数十万〜百万を超える日もあります。
日本人は政治に関心が薄いと言われますが、ツイッターに関して言えば政治への関心や意識は極めて高いと感じています。
驚くべきは年代層の広さです。ネットは若い年代が多い印象がありますが、ツイッターの政治クラスターは若年層から高齢者まで非常に幅広いユーザが活動しています。僕のフォロワーさんには戦前に生まれて空襲を体験した女性もいます。大学で学んだ政治学や経済学の知識を生かしてコメントしてくれる学生もいます。
ツイッターには今、政治に対する熱い思いが火の塊のようになり、燃えひろがろうとする予兆を感じています。
最近では黒川元検事長の定年延長問題に対する「#検察庁法改正案に反対します」のツイッターデモに、著名人を含んだ多くの有権者が参画し、政治を動かした事例になりました。
コロナ禍を通じて政治の劣化がますます明らかになる中で、ツイッターデモのようなネット上の政治活動が盛り上がる動きが広まっていくと感じています。
僕がTwitter をはじめたきっかけは、安倍政権に対する憤りです。安倍政権の数々の行状に我慢できなくなり、勢いで始めたという感じです。
僕がツイッターで固定ツイートしている内容を紹介します。
僕がまさにそうなんだけど、少し前まで政治にほとんど興味がなく、選挙もサボることが多く、誰が総理大臣になっても同じだと思っていた人達が、今起きている政治の異様さに驚き、危機感を持ち、きちんと政治に向き合う人が増えた事は、もしかしたら日本にとって良かったことなのかもしれない。
このツイートには多くの「いいね」とともに、「私も同じです」「僕もそうでした」という共感のコメントが数多く寄せられました。
僕のフォロワーの多くは、ずっと政治は別世界のものとして生活してきた人で、特に大きな不満もなく、僕もそうだったのですが、なんとなくの自民党支持者、安倍政権の支持者だったのです。
安倍政権の消極的支持者だった僕が、政権に疑問に持つようになったのは、2017年に北朝鮮によるミサイル発射が相次ぎ、Jアラートが発動された時期です。僕は北朝鮮のミサイル発射に心底恐怖をいだき、毎日欠かさず関連ニュースを注視していました。ミサイルが発射される度に安倍総理が会見で声明を出すのですが、その声明があまりに定型的で心に響かないことに僕は驚きました。
「あれ、安倍総理ってこんな人だっけ?」と思いました。国民がこれだけ恐怖にさらされているのに、この人はなぜか他人事だ、自分の言葉で話していない。
安倍総理の態度に疑問を感じた僕は、YouTubeの動画で安倍総理の過去の会見や国会答弁を漁って見ました。ちょうどその頃は森友問題や加計学園問題が世間を騒がした時期で、YouTubeにはそれらの国会動画が溢れていました。
それまで森友、加計問題を僕はニュースで知る程度で、よくある政局スキャンダルだろうと思っていました。この頃の僕は、野党はこの問題ばかりを国会で追及し、政策議論を放棄していると思っていたのです。
しかし動画でみた国会の様子は酷いものでした。議論なんてまるでしていない。まともな質疑になっていない。政府や官僚は質問されたことに一切答えていない。ただ強引に追及を逃れているだけ。
安倍総理や閣僚の人間性を疑うような答弁も目の当たりにし、なんとなくこの政権を支持していた自分が恥ずかしくなりました。もしかしたらずっと政治に騙されていたんじゃないか。それに僕は気づきました。
そのような経過を経て、僕は「安倍政権に物申す」ためにツイッターをはじめたのですが、驚いたのが実社会ではおよそ経験したこともないような政治的分断がツイッターの世界で完成していることでした。
盲目的に政権を支持する人たち、感情的に政権を批判する人たち。この2つの分断は、まるで両者がそれぞれ別世界、別次元に住んでいるのかと思うほどです。
そして実社会では圧倒的多数派の無党派層、中立層がほぼ存在しません。考えてみれば当たり前で、政治クラスターのツイッターですから、意見が強い人が集まっているのです。
そして残念ながらツイッターの中のこれらの意見のほとんどは、実社会にいる大多数の無党派層、中立層、無関心層に届きません。そして彼らは選挙にいかず、組織票を持つ与党が選挙に勝ち続けています。
この状況をなんとしても変えたい。これがツイッターの中のリベラル層の共通した願いです。
政治を変えるには無党派層を動かす必要がある。
これに異論がある人は少ないと思いますが、簡単な話でないことも事実です。
ポピュリズムはひとつの有効な手法なのかもしれませんが、僕は疑問を持ちます。僕が知っているポピュリズム政治家は、民衆を分断し、仮想の敵を作り、それを倒す姿勢をアピールすることで民衆を惹き付ける政治家ばかりです。
このやり方で無党派層、無関心層が動いたのも事実ですが、分断や敵対の結果生まれた政治からは、格差や差別、憎しみが生まれます。
このような悪いポピュリズムが横行しないためにも、もっと有権者の政治に対する関心を高め、政治に対する意識向上とレベルアップが必要です。
その鍵は「国会動画」にあると僕は思っています。僕自身が動画で国会の様子をみて政治を学び、考え方が大きく変わったように、国会質疑をいつでも、簡単に鑑賞できる環境が必要です。
国会質疑はエンターテイメントとしても最高の素材です。普段「先生」と呼ばれている政治家が国会で興奮して言い争ったり、誰が聞いても嘘だと分かるような答弁をしたり、気持ち悪い総理へのお世辞が飛び出したり。それは台本がある芝居ではなく、生身の人間の壮絶なドラマです。人はここまで愚かで醜くなれるのかと思えるシーンも続出します。僕は今ではどんなドラマやバラエティより国会質疑は面白いと思います。
国会質疑を多くの人にみてもらう試みは、街頭で国会映像を流す「国会パブリックビューイング」をはじめ、いくつか始まっています。僕も安倍総理の国会答弁を中心としたYouTubeチャンネル「Dr.ナイフの国会チャンネル」を運営していますので、よろしければ是非一度ご覧ください。
Dr.ナイフの国会チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCHDdgS0OYDyntwDvJm3I8Yw
政治家の方々に提案というか、お願いしたいのは、これからは政治家が何か意見や主張を発信し支持を集めるという従来のスタイルに加えて、有権者が主役になって政治に参加できるスタイルを模索してほしいと思います。
街頭でもネットでも、政治家が一方的に話すだけでなく、有権者が参加して意見や批判を忌憚なく言える場を作る。僕が知っている限りでは、立憲民主党代表特別補佐の小川淳也衆院議員、れいわ新選組の山本太郎代表などが既に始めているスタイルですが、これは大きな政治パワーを生むと思います。
ツイッターやYouTube などはぜひ積極的に使って、広く発信するだけでなく有権者から意見、コメントをもらえるような運営が効果的です。地元の選挙区で有権者と握手をして得られる絆と同じように、地域に関係なく全国の有権者と絆を作る。SNS用語ではこれをエンゲージメントといいますが、全国の有権者とのエンゲージメントを増やすことは、政治活動に大きなプラスになるはずです。僕が政治家の方々にいま一番期待していることです。
最初の投稿でダラダラと拡散した内容になってしまいましたが、どうぞこれからよろしくお願いいたします。一人の有権者の素朴な視点で、いろいろ発信していきたいと思います。
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