神津里季生(こうづ・りきお) 連合会長
1956年東京都生まれ。東京大学教養学部卒。在学時は野球部マネジャー。79年、新日本製鐵に入社。84年に本社労働組合執行委員となり、専従役員の活動を始める。外務省と民間の人事交流で90年より3年間、在タイ日本大使館に勤務。その後、新日鐡労連会長、基幹労連中央執行委員長などを経て、2013年に連合会事務局長に就任、15年より同会長。近著に「神津式労働問題のレッスン」。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
基本をおざなりにしたかつての姿に戻すべきではない。よりよい働き方を求めよう
今、新型コロナウィルスが私たちに与えているインパクトは大きくかつ深いものがあります。就活をめぐる環境にも大きな変化が生じています。
このウィルスは、感染リスクがみえないだけに、大変厄介なしろものです。日本では、諸外国に比べれば死者数がかなり少ないとはいえ、もやもやとした不安は消えません。軽症者・無症状者も後遺症の心配があるとも聞きます。スッキリと安心できるまでに数年はかかることを覚悟せざるをえないでしょう。
その一方で今回、コロナは期せずして、あらためて私たちにものごとの基本の大事さに対する意識を目覚めさせてくれました。新たな気付きもそこに加わってきています。いつか再びスッキリとした安心を私たちが取り戻せたとしても、社会の姿は完全に元に戻るわけではない、いやむしろ戻すべきではないということなのです。私は、ものごとの基本をおざなりにしていたかつての姿に戻してはならないということだと思います。
「ニューノーマル」という言葉に象徴されるように、新しい社会の定常的な姿を見出していかなければなりません。災い転じて福となすです。これまでよりもっといい生き方・働き方につなげていくきっかけを私たちは与えられているのです。
そして就活もまた、コロナ時代のニューノーマルにおける姿が問われています。